Melting In The Mouth
市川将輔氏
オーガニック牛乳をブレンドしたソフトクリームや、スペシャリティーコーヒーをメインメニューとした「Melting In The Mouth (メルティング イン ザ マウス)」。Uber Eats には 2017 年と早い段階からパートナーとなり「Eats 厳選」を継続的に獲得、売り上げ収益も昨年の 2 倍以上に拡大しています。
単価の低いソフトクリームやコーヒーなどの商品でも高い売り上げを継続できるのはなぜか? 「Melting In The Mouth」の市川氏にその理由を伺いました。
1.「Melting In The Mouth 」をオープンされたきっかけについて教えてください。
当店は「Love your daily life with a little thing」というブランドスローガンのもと、幅広い年齢層の方たちが楽しめるカフェを作り、そしてそれを新しい文化として発信していくことを目標にオープンしました。家族みんなが店に来て、一緒に幸せな時間を過ごしていただけるよう、お客さまに提供する小さいデザートや一杯の飲み物を一生懸命に作り、そしてお客さまの 1 日を幸せなのもにしたいという気持ちで、毎日少しずつ頑張っています。
そのために、お客さまに少しでも安心いただけるように食材にもこだわっています。ソフトクリーム「オリジナル」はオーガニック牛乳をベースに、独自ブレンドで作った濃厚であっさりとした口当たりに仕上げています。また、北海道産のマスカルポーネと高級ココアをたっぷり使ったティラミス「アイアムティラミス」や、スペシャリティーシングルオリジンで入れた、こだわりのエスプレッソブレンドコーヒーの「アメリカーノ」など、お客さまの健康のために、最高品質の食材を使用したデザートとドリンクを提供することを心掛けています。1 日の中で小さなことに幸せを感じることができれば、やがてそこから大きな変化が訪れると私たちは信じているんですよ。
2.Uber Eats が日本で広く認知される前からデリバリーを始められていますが、そのきっかけについて教えてください。
店舗に来られない方のためにも、おいしいスイーツをお届けしたいという考えから始めました。私たちが直接配達できないので、Uber Eats を知ったときはこれだ!と思いましたね。当店は、小さなソフトクリームを通して、ソフトクリームの新しさや可能性を世界に発信していくというビジョンを持っています。コーヒーも同じで、手軽に毎日飲めるように、インパクトが強い味のものより、飲みやすいものを使い、季節に合わせて豆を変えています。これらのこだわり抜いた良質な材料と技術で、ソフトクリームやコーヒーいうシンプルな物が今までと違う新しい物となる未来を目指しています。その気持ちが、Uber Eats で注文していただいた方々に伝わればいいなと思っています。
3.デリバリーでは、昨年と比べて、今年は 2 倍以上の収益を上げられています。どのようにしてこのような成長を達成されたのでしょうか?
当店は、コロナ明けの頃に前オーナーより経営を受け継ぎました。その当時は、スタッフの確保ができてなかったため、本来の営業時間より短い時間で店を開けていました。そこで、まずは営業時間を元に戻すところから始めました。そのうち、夜の時間帯が比較的集客があることが分かってきました。元々 20 時閉店だったのですが、20 時から 21 時、 22 時と閉店時間を延長していく中で、少しずつ注文が増えていく。スイーツ店は夜の営業をしている店が少ないため、「需要はあるけれど購入できる店が少ない」という状態が、売り上げ拡大につながったのではないかと思います。
当店は、夕食後、または多くの方のお仕事終わりの時間帯、大体 18〜20 時ぐらいと、 21〜22 時に注文が多く入ります。何か起爆剤があったわけではなく、元々持っていたポテンシャルをちゃんと発揮できるようになったというのが、収益が上がった原因ではないでしょうか。
実店舗は、大勢の方の来店が連日見込めるタイプの店ではないため、経費的なことを考えると、あまりスタッフを多く置くことはできません。しかし、常に スタッフ 2 人はいるような状況にしていて、混雑する時間帯や週末などは、3 人体制をとっています。基本的には店頭に来ていただいたお客さまを優先し、デリバリーはその合間に対応しています。夜 21 時あたりには、街自体に人がいない、実店舗に来店するお客さまがほぼいない状態になるため、デリバリー対応がメインになります。もちろん、いつ食べても同じ味、おいしい味であるように、しっかりとレシピ管理をしているのと、定期的に期間限定メニューを出すことで、お客さまに飽きられないようにしているのは基本です。
そもそも、ソフトクリームは店の看板メニューではありますが、1 年を通して店頭でもデリバリーでも売れているのは焼き菓子なんです。当店はソフトクリーム屋という認識の方が多いだろうと思われるのですが、お客さまに「実際に店に来てみたら焼き菓子も取り扱っている」と気付いていただいたことで、焼き菓子の需要も高まったのではないかと考えます。
4.ソフトクリームのお店ではあるけれど、焼き菓子の人気も高いということでしょうか。
夏場はソフトクリームやシェイクがよく出ますがそれ以外の季節は、チーズケーキとかバナナブレッドなどの焼き菓子とコーヒーの需要が高いです。基本的にメニューは全て手作りです。Uber Eats のメニューには出していないのですが、本社でグルテンフリーのバスクチーズケーキやガトーショコラなどを作っているので、これらも店頭で販売しています。中にはヴィーガン向けの焼き菓子もあります。
実店舗のある広尾という街がら、富裕層の方が多く、金額よりもその商品の付加価値にお金を使うというお客さまが多いと感じます。広尾には焼き菓子、クッキー、ケーキの店はいろいろありますし、メニューが手作りという店舗も多いです。その中でも当店は値段的にもお手頃感があり、味もおいしいというお声を頂いています。ソフトクリームだけではなく、焼き菓子のおい しい店としての認知度も少しずつ上がっているようで、ありがたいなと感じています。
5.最後に、今後の展望を聞かせてください。
まずは商品構成について考えていきたいですね。ソフトクリームではイチゴやマンゴー、マスカットなど季節ごとの限定商品を出しているのですが、それ以外でさらに季節感のあるものを考えたいと思っています。また、キャンペーンやクーポンなどのサービスに何か取り組むべきだとは思っているのですが、人手が足りなかったことや、店を回すことだけで手一杯だったため、今後は少しずつ、思っていますと試していけたらと思っています。まだ伸びしろは十分にあると思っています。
これまでは、前オーナーの意向もあり、シーズンで販売する商品の多くは通年で決まっていました。今後は、スタッフと一緒に、この時期に「これを売ろう」「売ってみたい」という商品を考えて展開できればと思っています。当たり前なのかもしれませんが、その季節にある程度応じたものを、焼き菓子を含め販売できたらいいなと思っています。
その第一弾として、紅茶をおいしい茶葉のものにして、新メニューを出していこうと考えています。女性スタッフから「紅茶のクッキーを出しましょう」と提案されたんです。そういう女性ならではの価値観を、これからどんどん取り入れていければと思っています。
まとめ
プルンとした独特のフォルムを持つソフトクリームが SNS などで評判になっている「Melting In The Mouth」。話題性の高いソフトクリームより、売り上げを支えているのは通年で販売している焼き菓子というのは意外な点でした。
また、「夜間の時間帯において、スイーツのデリバリーは店舗数がまだ少なくチャンスがある」というのは、以前お話を聞いた大阪のクレープ店「アンクープル アングレカム」でも話題に上がったことでした。「Melting In The Mouth」は、ベースとなるポテンシャルが夜間帯のスイーツのマーケットの開拓により、存分に発揮された事例だといえるのかもしれません。
■ Uber Eats:メルティング インザ マウス Melting in the Mouth
■ Instagram:https://www.instagram.com/mitm_tokyo/