ラーメンのデリバリーは難しい。 「やってみるしかない」と挑戦した家系ラーメン店が Uber Eats で売り上げの柱をつくるまで
横浜家系ラーメン銀家 みなとみらい店
店長
今野拓透 氏
神奈川県横浜市を中心に展開し、横浜家系ラーメンを提供する銀家。2004 年の創業以来、北海道にも出店するなど、現在は店舗数を 11 店舗まで拡大しています。そんな銀家の 9 店舗目として 2024 年 7 月にオープンしたのがみなとみらい店。ファミリーでも入りやすい店づくりと、店内仕込みへのこだわりで人気を博しています。今回は、デリバリーで品質を維持するのが難しいラーメンというカテゴリーの中にあっても、デリバリーを売り上げの柱の 1 つへと成長させているみなとみらい店を取材。同店での Uber Eats 活用の背景や工夫を詳しく伺いました。
「入りやすさ」と「本物」を両立する家系ラーメンの新しいスタイル
-まずはお店のコンセプトを教えてください。
銀家はいわゆる横浜家系ラーメンのお店で、神奈川県横浜市を中心に店舗を展開しています。家系ラーメンは本格的な職人さんが営むラーメン店のイメージが強く、近寄りがたさを感じる方もいると思うのですが、銀家は少し違うアプローチを取っていて、女性やファミリーでも気軽に入れるようなお店づくりを大切にしています。
-具体的にどのような店づくりをされているのでしょうか?
みなとみらい店はテーブル席をメインにつくっています。カウンターだけの店舗もある中、仲間やファミリーでゆったり来られる空間を意識しました。メニューも家系の直系店とは異なり、チャーハンや唐揚げ、お子さまラーメンなど、幅広い層に刺さるラインナップにしています。
銀家は 11 店舗すべてにおいて、店内でスープを仕込んでいます。みなとみらい店では 4 種類の鶏ガラ・豚ガラを使用しています。効率を考えると工場で一括製造する選択肢もあるのですが、お店で炊くスープとのクオリティの差があり、社長の「やはり店で炊いたものを出したい」という思いで今に至っています。トッピング類もすべて手仕込みです。もう 1 つのこだわりが麺です。自家製麺にこだわっており、太麺が定番の家系では珍しい細麺も取り扱っています。豊富なバリエーションからお好みのものを選べるところも、幅広いお客さまにご利用いただけている当店の強みだと思っています。
-Uber Eats を導入したきっかけを教えてください。
大きなきっかけはコロナ禍です。実はコロナ禍になる 1 年ほど前から、油そばの業態では先行してデリバリーを始めていましたが、汁物であるラーメンに関してはなかなか導入に踏み切れていなかったんです。私自身は携わっていないのですが、会社のほうで実際に試作してから 30 分後に食べてみたりもしたそうです。ただ、「1 回は頼んでもらえても次はないだろう」と感じる品質だったため、導入できていなかったと聞いています。それでもコロナ禍で店内売り上げだけでは厳しくなり、どれだけ売れるのかも半信半疑でしたが、「もうやってみるしかない」という気持ちでスタートしました。
-そこからうまく売り上げがつくれるようになった背景には、どんな変化があったのでしょうか?
コロナ禍でデリバリー市場が急拡大したことで、食品メーカーさんが麺に絡めるほぐし油を開発してくれたんです。茹でた麺はスープに浸かっていないと固まってしまうのですが、ほぐし油を使うことで課題が解消されました。また、容器についてもスープ用のデリバリー容器を業者さんから提案いただき、スープと麺を別々に入れる仕組みにしました。調理面では、茹で時間の調整を行い、通常より短めにしています。お客さまのもとに届いたときにちょうどいい状態になるよう逆算した結果です。こうした工夫を重ねながら、今の品質にたどり着いたという感じですね。
-店内営業とのオペレーションの両立はどのように工夫されていますか?
最初はやはり手間が増えたという感覚はありました。スープを器に入れて麺を上げてトッピングするだけだったものが、スープを入れて中皿を入れてから麺を上げて、トッピングして蓋をする、という工程になりますから。慣れない梱包作業が追加されたことで、最初は多少なりとも負担がありました。そういった負担を軽減するための工夫の 1 つとして、キッチン内にテイクアウト容器を配置して梱包工程を簡素化しました。もう 1 つは、指示役を必ず置くことです。もちろんスタッフの全員が阿吽の呼吸で動ければいいのですが、実際にはなかなか難しいところがあります。なので、ピーク時には指示役が各スタッフへ役割を割り振り、Uber Eats の注文が入ったときの優先度の判断をします。本当に忙しい時間帯に関しては、必要な存在だと感じています。
通常営業に戻ってから、店舗が忙しくなってくるとデリバリーの受け付けを止めてしまおうという気持ちもありました。ただ、デリバリーの売り上げも重要で、会社として「基本的には休止しない」という方針になってからは、各店舗で工夫するようになりました。月 1 回会議があるのですが、売り上げの高い店舗の取り組みを共有し合うことで、全体のレベルが上がってきています。
「休止しない」を方針に、店舗とデリバリーを両立させる知恵を生み出す
-Uber Eats での売れ方に特徴はありますか?
やはり深夜は強いです。交通機関が止まってなかなかお店に来ていただくのが難しい時間帯でも、Uber Eats ならラーメンが食べられます。そこが売り上げを大きく押し上げている要因の 1 つです。売れる商品に関して言うと、店内では家系ラーメンの定番セットである白米がやはり 1 番出るのですが、Uber Eats ではチャーハンがよく出ます。ラーメンとチャーハンのセットという町中華的な楽しみ方ができることも、Uber Eats で銀家をご利用いただけている理由になっているのかもしれません。
-売り上げが増えたこと以外で、Uber Eats をやってよかったと感じることはありますか?
お店に来ることができないお客さまにも商品を提供できることですね。ランチタイムは混雑するのでなかなか来られないなどの時間的な制約がある方や、在宅ワークになってみなとみらいに来なくなった方、いろんな事情があると思うんですが、そういう方々にも銀家のラーメンを味わっていただける。これが純粋にうれしいです。
今は期待以上の売り上げになっていますが、広告の活用や打ち出し方の強化など、まだ取り組めていないこともあり、伸びしろがあると思っています。最初は感覚的な対応しかやってなかったんですが、Uber Eats の担当者さんがしっかりサポートしてくださるおかげで、分析して対策を打つことができるようになってきました。現在は Uber Eats が新たに始めた「お店と同じ価格」という取り組みに、銀家としてもチャレンジしています。今後も Uber Eats と Win-Win の関係を築いていきたいです。
取材後記
「横浜家系ラーメン銀家」のみなとみらい店の外観はガラス張りで、店内も家系ラーメンのお店の一般的なイメージとは異なり、ファミレスのような雰囲気です。間口を広げ、より多くの方に利用していただきたいという思いが表れています。一方、スープをはじめとした食材の店内仕込みへのこだわりを貫き、味に関しての妥協はありません。この両方の姿勢を兼ね備えていることが、Uber Eats においても新たな顧客層の獲得につながっている要因だと感じました。
銀家を運営するアウラホールディングスでは現在、デリバリーを店内売り上げと並ぶ「会社としての 2 本目の柱」として育てていくために、各店舗に売り上げ目標を設けています。こうした目標達成を目指すという意識の変化が、銀家のさらなる成長を後押ししていくのではないかと感じました。
Azusa Miura