飲食店の気になるを大公開! オモロー山下が聞く「お店と同じ価格、実際どうなの!?」 ~注文件数を激増させたハンバーガーチェーンの挑戦~
インタビュイー
ファーストキッチン株式会社
マーケティング部 企画課
篠田 豪 氏
インタビュアー
オモロー山下 氏
アメリカ発のハンバーガーチェーン「Wendy’s」と、日本生まれの「First Kitchen」が融合した新しいファストフードブランド、「Wendy’s First Kitchen(以下、WFK)」。本格的なハンバーガーと、カフェ利用にも適した多彩なメニューを強みに、幅広い時間帯で支持を集めています。そんな WFK では、Uber Eats を活用したデリバリー強化を進める中で、新たな取り組みとして「お店と同じ価格」を導入。今回はこの施策の狙いと成果、そして現場での工夫について、山下本気うどん創業者で現在はアドバイザーを務めるオモロー山下氏がファーストキッチン株式会社の篠田氏にインタビューを行いました。
「アメリカ×日本」の融合が生む、幅広い利用シーン
山下氏:篠田さんはマーケティング部に所属されているということですが、具体的にはどういったことをされているんですか?
篠田氏:販売促進を担当していて、POP の作成や Uber Eats のようなデリバリー会社とのやりとりが主な業務です。
山下氏:ファーストキッチン株式会社のこれからを担っていく方ということですね。では、WFK のお店の特徴は何ですか?
篠田氏:アメリカの Wendy’s と、日本の First Kitchen のコラボレーションから生まれたというところが特徴です。First Kitchen は 1977 年に日本で創業した企業なんですが、2015 年にコラボの第 1 号店を六本木にオープンし、現在 WFK としては 76店舗あります。
篠田氏:ありがとうございます!ビーフ 100% のパティなんですが、創業者デイブ・トーマスのこだわりで四角いパティを使用しています。「We don’t cut corners on quality」が彼の口癖だったそうで「don't cut corners」は手を抜かないという意味の慣用句です。そのこだわりを象徴するものとして、角をカットしていない四角いパティを使っています。商品はもちろん、サービスやお店の清掃も手を抜かないということを徹底しています。
山下氏:じゃあ、篠田さんも手を抜かない?
篠田氏:もちろんです!
山下氏:デリバリー自体はいつ頃から始められたのですか?
篠田氏:約 10 年前から取り組んでいます。元々は店内飲食を強みにしていたので、デリバリーは補完的な位置づけで、店内にお客さまがいらっしゃらないときにデリバリーで注文が入ればいいかな、というくらいの感覚でした。
山下氏:そうだったんですね。売り上げは伸びてきているんですか?
篠田氏:堅調に伸びてきています。特にコロナ禍以降、デリバリー抜きでは私たちのビジネスが語れないくらいに成長しています。
山下氏:確かに、家や会社でデリバリーするのが当たり前になって、完全に生活に入り込みましたよね。
篠田氏:会社として成長していくためには、店舗での販売だけではなく、チャネルを拡大していくことが大事だと実感しています。
山下氏:社内の意識も変わってきたということですか?
篠田氏:かなり変わりました。店舗によっては売り上げの半分以上がデリバリーというケースもありますし、会社全体で取り組んでいるような状況です。
山下氏:今回の「お店と同じ価格」ですが、導入のきっかけは何だったんですか?
篠田氏:昨年は Uber Eats 上で 30% オフのキャンペーンを実施していたのですが、その効果が一巡し、落ち着いてきたタイミングで、Uber Eats の担当の方から「お店と同じ価格」の提案を頂いたのがきっかけです。新しいチャレンジとしてやってみようと思って、スタートさせました。
山下氏:なるほど、次の一手が必要だったと。
篠田氏:まずは千葉と埼玉の 13 店舗で先行導入して、どのくらいの効果があるのかを確認しました。露出が少ない中でも、注文件数が目標値には届いたので、全店舗導入を進めていこうという判断をしました。
山下氏:WFK さんはフランチャイズ展開もされていますが、そのあたりの調整はいかがでしたか?
篠田氏:オーナー様との意思統一が肝になるので、いろいろと説明をさせていただく機会を設けました。直営店でのテスト内容を共有して、売り上げや利益の構造を説明して、メリットだけでなくデメリットも伝えるようにしました。
山下氏:なるほど。あと気になったんですが、「お店と同じ価格」は店内飲食の売り上げに影響はしなかったんですか?
篠田氏:お客さまにとってはデリバリーでも同じ価格で購入できるので、店内飲食が減る可能性はあるかなと私自身少し懸念していましたが、実際にはそういった状況は見られませんでした。Uber Eats で購入されている方々の中で、弊社を選んでくれる回数が増えたという認識です。
山下氏:それは良かったですね。現在は全店舗で「お店と同じ価格」を実施されているということですが、実際どうなんですか?具体的な数字とかを教えていただけますか?
篠田氏:昨年比の数字で言うと、注文件数は約 3 倍。売り上げは約 2.3 倍になっています。
山下氏:すごいですね!そんなに変わるものなんですね。導入して良かったじゃないですか。
篠田氏:そうなんです。私自身も率直に「すごい!」と思っています。この施策に合わせて、できるだけ目に留まるようにヒーロー画像を工夫したことも効果があったかなと思います。
山下氏:気になるところなので伺いますが、導入前より商品価格が下がるので 1 件あたりの購入単価はやっぱり下がりましたか?
篠田氏:そうですね。2 割ほど下がりました。ただ、私としては 2 割減で済んでいるという感覚です。
篠田氏:今まで商品を 2~3 個くらいしか注文されていなかったお客さまが、4~5 個を注文されるようになっているんじゃないかなと思います。
山下氏:価格が下がったことで、「じゃあ、もう 1 個頼もうかな」という気持ちになっているんですね。WFK さんのようにメニューが豊富だと、「ついでにあれも頼んでみようか」とか?
篠田氏:サイドメニューをちょい足しされたり、デザートメニューもあるので、そこから追加されていたりするのではないかと思っています。そういう視点でいうと、店内飲食とデリバリーでは売れる商品にも違いがあります。
山下氏:どんな違いがあるんですか?
篠田氏:山下さんに先ほど召し上がっていただいた「ベーコネーター USA ダブル」は、実は店内飲食ではメインで売れる商品ではないんですけど、デリバリーではトップ 3 に入ってきます。
山下氏:えーそうなんですね!そんなに差があるのは面白いですね。
篠田氏:これは私の推測ですが、ご自宅で食べるときはボリューム感をあまり気にせずに食べようとか、そういう風に思っていただいているのかなと。
山下氏:特に女性の方だと周りの目が気になって、店内飲食だとちょっと控えているけど、家だったらガッツリ食べようとかね。確かにあるかもしれませんね!
山下氏:「お店と同じ価格」を導入したことで、注文件数が約 3 倍になったということですが、オペレーションとかは大変じゃなかったんですか?
篠田氏:そうなることは予想して、なるべく現場の負担が増えないような工夫をしています。
山下氏:具体的にはどんなことをされているんですか?
篠田氏:1 つは POS 連携です。Uber Eats で注文が入ると、そのまま POS にデータが飛んで、キッチンディスプレイに注文が表示されるようにしています。そうすることで、Uber Eats の注文を見ながらレジ打ちをする必要がありません。
山下氏:手間が 1 つ省けるということですね。
篠田氏:もう 1 つはキッチンディスプレイの枚数を増やしたことです。これまでは厨房のスタッフだけが見ていたのですが、ドリンクやポテトの調理を担当するスタッフも見られるようにして、作業を分散させています。
篠田氏:配達パートナーさんもお客さまであるということをしっかりと意識づけるようにしています。
山下氏:お客さまへのつなぎ役として大切な存在だからということですか?
篠田氏:そうです、非常に大切です。結局お客さまのところまできちんと商品が届かなければ、私たちの売り上げにもつながらないので。配達パートナーさんは、単に配達をしている人ではなく、お客さまなんだという話を店舗運営スタッフには常にしています。
山下氏:篠田さんは「お店と同じ価格」を含め、Uber Eats 上でのさまざまな取り組みを実施されているということですが、Uber Eats の強みはどこだと思いますか?
篠田氏:配達パートナーさんや注文者さんの数の多さは肌で感じます。
山下氏:Uber Eats のアプリ、みんなスマホに入れていますもんね。だから、目に留まる機会も多いでしょうし。
篠田氏:販促をすると反応がダイレクトで、Uber Eats の中に 1 つのマーケットがある印象です。なので、広告で露出を高めると、売り上げが急に変わります。「お店と同じ価格」で注文件数が伸びたことは事実ですし、良かったと思っていますが、それと並行して広告だったり、マーケティング活動だったりをやっていく必要もあると感じています。
山下氏:では最後に、今後の展開についても教えてください。
篠田氏:既存店の成長はもちろんですが、新規出店の際にデリバリー専門店にもチャレンジをしたいです。それなら狭小物件でもできるんじゃないかと、社内の各部署と話をしているような状況です。Uber Eats と一緒に取り組むことで、しっかり利益構造をうまく作れるようチャレンジしていきたいなと思っています。
山下氏:篠田さん、今日は貴重なお話をありがとうございました。
篠田氏:こちらこそ、ありがとうございました。
「WFK」は、アメリカ発「Wendy’s」の本格ハンバーガーと、「First Kitchen」が提供してきたパスタやフロート、デザートといった日本独自の多彩なメニューを融合させたファストフードブランドです。2026 年 4 月現在で、WFK として全国に 76 店舗を展開。食事からカフェ利用まで幅広いニーズに対応しています。近年はデリバリー強化にも積極的に取り組み、新たな成長戦略を推進しています。(写真は曙橋店)
Azusa Miura