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Uber の CEO としての最初の数カ月、私は世界中をめぐり、各地のチームと会ってきました。その中で、トラブル対応をしなければならない場面もあったものの、社員を通して  Uber  の起業家精神を直接体験することができました。私を含む多くの社員が持つ前向きな姿勢と、失敗を恐れない態度が、Uber の成功の大部分を支えており、会社を魅力的にしているということです。

しかし、今日の Uber の文化やアプローチが、私たちを次のレベルに導くものではないことも明らかです。 何が何でも企業成長しなければならない時代から、ゆっくり確実に成長していく企業になるにつれて、私たちの文化も進化する必要があります。 それは、企業文化を完全に変えてしまうことではなく、良い部分は残し、悪い部分はすぐに改善することです。

私は以前、Uber  は新しい企業行動規範を持つ必要があると全社員に発表しました。 企業価値は、我々が何者かを示し、我々の行動の基準となるものですが、今までの企業文化は当社の目指す姿とは実際は異なるという声を多くの社員から聞きました。 例えば、「Toe-stepping(意訳: 人の領分を侵してでも発言する)」は、職種や経歴にかかわらず自分のアイデアを共有できる環境を作るために生まれたものですが、実際は失礼な発言の言い訳のようにも使われていました。

私は企業文化はボトムアップで築かれていくべきだと信じています。トップダウンの文化は、いくら強力に推進しても、人々が受け入れず、うまくいきません。そこで、トップだけが新しい企業文化を考え、決めるのではなく、全社員にアイデアを求めることにしました。1,200 人以上の社員が送ってくれたアイデアに 22,000 回以上の投票を重ね、役員や人事チーム、各海外拠点の代表者とともに、20 回以上のフォーカス・グループによる対話を実施しました。

社員のアイデアの中にはいくつかの共通点がありました。まず、問題解決とスピードを重視するこれまでの価値観は評価してはいるものの、多様な意見を受け入れる姿勢や、チームワークおよび協調性を評価して欲しいと考える社員も多くいました。 また、全ての決断において誠実さを重視し、失敗を認めることを恐れない姿勢を求めていることがわかりました。

企業が成長すれば考え方も変わります。そこで、Uber における新しい考え方を、私たちは「価値観」ではなく「Cultural Norms(文化的規範)」とよびたいと思います。 常に変化を受け入れてきた企業として、社内の文化に関しても同じように対応していくつもりです。これらの規範が一晩や年毎に変わるとは思いませんが、私たちが今どのような会社で、将来どのような会社になりたいかを考え、それに応じて行動したいと考えています。

Uber は、今までの企業文化のおかげで、世界的に価値のある、重要な企業を作り上げることができました。この文化の良いところは守りつつ、今後は社員の誰もが公私ともに成長できるような企業文化を築いていきます。また、これらの規範はUberを前進させ、より良い企業へと変化するにつれ、それぞれの社員に責任感を持たせるものだと考えています。

Uber の企業行動規範

ローカル視点を持ったグローバル展開 (We build globally, we live locally.)
Uberは、グローバルで培った事業基盤を、サービスを提供する国や都市に合わせて、コミュニティ、ドライバーそして乗客の皆様との深い結びつきを築くために最大限活用していきます。

顧客第一主義 (We are customer obsessed)
お客様が抱える問題の解決、収益の最大化、コストの削減を実現することで、信頼を獲得できるように尽くします。お客様に感激し喜んでいただくために、短期的な成功でなく、末永い信頼を得るための努力を惜しみません。

個性を大事にする (We celebrate differences)
Uber は、違いを歓迎します。様々なバックグラウンドを持つ人々から、多種多様な意見や考え方を受け入れることができる企業文化を築きます。

正しいことをする (We do the right thing. Period)
正しいことをする。ただそれだけです。

責任感を持って行動する (We act like owners)
率先して課題を見つけ、解決策を提供します。大切な人々をサポートし、互いに助け合います。行動と説明責任を重視しながら、始めたことはやり遂げ、永続する企業を作ります。そして、何かの間違いを犯した時は素直に認め改めます。

辛抱強くやり遂げる (We persevere)
Uberは不屈の精神が生み出す力を信じています。ただ楽な道を選ぶのではなく、最もやりがいがある困難な道を進みます。Uber には苦境からも回復する力があり、それが事業の礎となっています。

立場に関係なく優れたアイデアを評価する (We value ideas over hierarchy)
私たちは役職よりもアイデアを評価します。良いアイデアは、社内外のどこからでも得られると信じています。 それらの素晴らしいアイデアを探し求め、公平な議論を通して形作り、概念から行動に移します。

大胆であれ (We make big bold bets)
時に失敗することもあります。しかし、その試練から学び、より賢くなることが重要です。しっかり学び、準備を整え、臆することなく次に進んでいきます。