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米国における Uber の影響ついての話はよく耳にしますが、では他の地域ではどうでしょうか。
ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が発表した最近の調査(※1)によると、フランスでは過去 4 年間で、Uber のような交通プラットフォームが急速に発達し、新しい経済機会の創出や国家経済の全体的な拡大といった、フランス全体の経済に非常に大きな影響を及ぼしています。
- 交通ネットワーク企業(TNC)が 2016 年第 1 四半期の新しい雇用の 1/4 を創出
- Uber ドライバー 22,000 人のうち最大 11,000 人が無職だった
- 77% のドライバーが運転することに幸せを感じている
本調査では、2016 年上半期にパリ地域で創出された雇用機会の1/4 が Uber のような交通プラットフォームによるものだったことがわかりました。事実、パリ地域の GDP 成長率の 6% が、交通ネットワーク企業(TNC)からのもので、これはフランス全土の GDP の約 2% に相当します。
Uber の西ヨーロッパ地域担当ジェネラルマネージャーの Thibaud Simphal は、次のように述べています。
「他のどの経済分野よりも、フランスにいる人々により多くの雇用機会を創出している業界のリーダーであることを嬉しく思います」
この調査では、長期的に見れば、一人当たりのドライバー数がニューヨークやロンドンに満たなくても、フランスにおける交通ネットワーク企業が、8 万人のドライバーという仕事を創出できる可能性があることを示しています。同分野の 22,000人のドライバーのうち、40% が以前は無職だった人であり、うち 3,000 人は 1 年以上、失業していました。Benenson Strategy Group が実施した調査によると、Uber のドライバーの 87% が、いつ、どこで、どれくらい働くのかを上司に指示されるのではなく、自分自身で柔軟に決めて働ける点を好意的に受け止めています。
フランス国内で、個々人が Uber によって得た新しい経済的機会に関するストーリーを簡単に見つけることができます。Le Monde 紙のジャーナリストである Maryline Baumard 氏は、パリ郊外の町で、失業率の最も高いバニョレ(Bagnolet)のイベントで出会った Uber のドライバーパートナーについて、以前、次のように記述しています。
Baumard 氏と話した Uber パートナーの一人である Abdel Salam Belgaasi 氏は、Uber のドライバーとして8か月働いています。彼は「新たな人生をスタートし、新たな機会を受け入れる」ことを決めたと言いました。彼はフランスに 4 年間住んでいますが、Uber と契約するまでは住む場所を確保するのに必要な収入を十分に得られない小さな仕事をしていたため、保護施設に住んでいました。
Youssef Sebiane 氏もバニョレにいる Uberパートナーですが、エンジニアリングの学位がありながら、適切な仕事を見つけることが難しかったそうです。現在、Youssef 氏は Uber 用の車両と 4 名のドライバーを抱えています。
バニョレのような町では、Uber による経済機会の恩恵を多く受けています。バニョレの副市長は、「27% の若者が無職であり、郊外の町ではその数字が 35% にまで上昇しています。このように、希望を失った若者にチャンスを与えることができることは、非常に実用的であり、感謝しています」と述べています。
BCGの調査によると、交通ネットワーク企業がフランスの経済成長に広く寄与していることもわかりました。これらの波及効果は直感的であり、レンタカーや保険などの密接に関わる業界は、2016 年に最大 2 億 5000 万ユーロ (約300億円)の恩恵を受けた可能性があります。
Uber によって恩恵を受ける地域経済エコシステム
(ボストン・コンサルティング・グループ)
[図内左手より]
1回の乗車につき:
[緑] 20% – プラットフォーム、 80% – ドライバー
[青] 25% – 直接影響を受けるエコシステム
↓
自動車販売とレンタカー + 保険会社 + 会計事務所 + 免許および審査機関
= 2016年のエコシステムによる直接的な売上高:1.5億〜2.5億ユーロ
(約180億円〜300億円)
上図では、合計運賃の 80% がドライバー収入としてその地域に留まっています。経済活動の25%が交通に関連する業界に再循環され、残りは他の分野で活かされます。
しかし、間接的に影響を受ける人も少なくありません。全体的なモビリティが改善することで、バーやレストラン、小規模ビジネスへのアクセスもよくなり、大きな利益をもたらす事になります。さらに、観光産業にも利益をもたらします。もしかするとパリ訪問時に、市内観光に Uber を利用された方も少なくないかもしれません。この調査によると、2016 年 5 月だけで、約 10 万人の観光客がパリ周辺の移動に Uber を利用しています。
そしてもちろん、これらの利点はフランスの乗客がこのサービスを好み、その価値を認めているからこそ実現しているのです。世界でも優れた公共交通機関があるパリですが、幸いなことに 97% の利用者が Uber での移動を満足(または非常に満足)と評価しています。
私たちは Uber が最初の数年間でフランスの乗客、ドライバーそしてビジネスに与えた経済的な影響を誇りに思います。詳細については、BCGのメディアセンターをご覧ください。
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※1 本調査はフランス国立統計経済研究所(INSEE)の統計、Uber の提供データ、BCG が 2016 年 10 月からフランスで行った交通ネットワーク企業のユーザー 786 名のサンプル調査、300 名以上の職業運転手に対する定量調査および公開文書や報告書に基づいたものです。
投稿者: Olivia van Nieuwenhuizen, Policy Research Data Scientist