
北海道・稚内から車で南に2時間弱の所に位置する、人口約1,800人の町、北海道中頓別町で、UberのICTシステムを活用したライドシェア(通称: なかとんべつライドシェア)の実証実験が行われています。実際にライドシェアを利用している関川夫妻にお話をお伺いしました。
関川さんご夫妻は、約50km離れたオホーツクの町、枝幸町から3年前に中頓別町に越してきました。仕事で中頓別に住んでいた息子さんが家を建て、呼んでくれたのだそうです。ライドシェアは主に病院に行くときに利用しています。
功さんは長く町役場に勤め、枝幸町に40年近く住んできましたが、中頓別に来て寂しさはないといいます。
「中頓別の方々は本当に温かいです。どこで会っても親切だし、何を聞いてもすぐに教えてくれる」と功さ ん。ツヤ子さんも「そうそう」とうなずきます。
好きな時に移動したい、を叶えてくれる
2人がなかとんべつライドシェアを知ったのは町の広報誌で。昨年の11月のことでした。すぐに使おうと思ったそうです。功さんは運転免許ももっていますが、車は息子さんの名義。乗っていいよと言われていますが、事故にでもあったら困ると思い、なるべく乗らずに町の中心部は歩くようにしています。
「歳をとってくると運転に自信がもてなくなってしまって、玄関から玄関まで好きな時に移動するにはライドシェアしかない。」そう言いますが、何を隠そう、功さんは毎日平均10kmを歩いているという健脚の持ち主。歩くのが不自由というわけではありません。
「家が街から近いということもあって、まだ足腰が丈夫なもので、買い物は歩いてすませています。病院までは少し距離があるのでライドシェアを利用しています」とツヤ子さんは言います。
なかとんべつライドシェアがなかったら出会わなかった
そして、町に来てまだ浅い2人には、ライドシェアを通して、ドライバーさんという町民と知り合える機会が増えたのがなによりの喜び。温かな交流を通して、ますます中頓別町が好きになりました。
「ドライバーさんも親切で、そしてまた、毎回違う人というのもいいですね。知らなかった方もいるし話が膨らんで、いろいろなことを教えてもらっています」と功さん。ツヤ子さんも「今日はどんな方かなって、いつも楽しみですね。ライドシェアを利用していなかったら出会わなかった人も多いと思います」と言います。「時間があったら上がってコーヒー飲んでいって」と声をかけることもあるそうです。「今まで3人くらい上がっていったよね。世間話して。」
また、この春からガソリン代を払うことになったことについては、「多少でも料金を取ってくれるようになってほっとしています。それまでは気の毒でたまりませんでした。皆さんきれいにしているのに、冬などは車内を雪だらけにしてしまったり。はい、ありがとうで終わるのは気が引けていました」とツヤ子さん。
「もっとこれを知って多くの人たちに使ってもらうといいと思います。都会でも買い物弱者が多いとききますしね。高齢の方はたいへんですよね。こういうライドシェアが、中頓別だけではなく、たくさんの市町村に広がるといいと思います。全国に発信していかないと」とツヤ子さんは言います。「これから高齢の方も増えてくるんだから、やっぱりライドシェアも必要だと思うよ」と功さんもうなずきます。
