[2018年5月9日、ロサンゼルス]  Uberは、今年で2回目となる Elevate Summit で、大手建築事務所およびエンジニアリング会社6社による uberAIR(読み方:ウーバーエア) Skyport のデザインを初公開しました。これらのデザインは、様々な都市で uberAIR を大規模に運営していくためのインフラを創り上げる、産業界のリーダーの最初の一歩となるものです。

今回、数十件の応募の中から、高度な現実性、技術的な実現可能性を持った6つのコンセプトが選ばれました。最終候補となったのは、Gannett Fleming 社、BOKA Powell 社、Humphreys & Partners Architects 社、Pickard Chilton 社とArup 社の共同グループ、Corgan 社、The Beck Group 社の6件です。

Skyportはスタジアムやコンサートホールのように、収容人数の多い混雑した施設でuberAIR の離着陸をサポートするように設計されています。今回のコンセプトでは、床面積3エーカー(約12,000㎡)以内で1時間に4,000人以上の利用客を輸送できることが必要条件となっています。また、100%電動のVTOLS (垂直離着陸機)が周辺地域に与える影響を最小限に抑えながら運行の間に充電できることを保障し、騒音や環境面での規制要件を満たすことも必須になります。

Uber のアドバンストプログラムおよび航空部門の責任者であるジョン・バダラメンティ(John Badalamenti)は次のように述べています。

「本日、Uber は最も革新的な建築事務所6社を招き、各社のデザインを発表しました。発表されたデザインは、多くのデザイナーやエンジニアの方が、効率性に優れたモジュラー型 Skyport のデザイン案を何十件も設計した中から選りすぐった、最高水準のものです。uberAIR の実現は遠い未来の夢のように思われるかもしれませんが、皆様が考えるよりも近く、それに追いつくように都市のインフラを進化させていかなくてはなりません。Uber は業界を代表する様々な企業と協力し、Skyport という設備が大規模なスケールでどのように機能するかや、静かで、環境への配慮がある最良のデザインがどのようなものか、未来の交通運営に馴染む場所をどのように創り上げればよいかといった点に関する構想ができたことを非常に嬉しく思います。」

以下は、最終6デザインの概要です。

「Uber Elevate Skyport Challenge」 – 6つの最終デザイン案

Gannett Fleming 社  「The PAW」(ポー)

自然からインスピレーションを得た Gannett Fleming 社のデザインは、肉球のある動物の足(PAW)のような離着陸拠点です。この案では、1モジュールあたり1時間に52機の eVTOLS の離着陸をサポートできるよう設計され、2028年までに1時間に600回の離着陸、4,000人の輸送が行えるようになる拡張可能性を備えています。

このデザインでは、ロボットを使ってパーキングパッド上で eVTOL機を180度回転させ、すぐに離陸できる状態で待機させます。サスティナビリティに配慮して、Skyport には太陽光発電の受容装置と透明なコンクリートを用い、太陽光での充電を可能にします。防音性能のある壁を用いた遮音壁は風を通す構造で、騒音の影響を最小限に抑えます。

Gannett Fleming 社のプリンシパルアーキテクトであるテッド・オズボーン(Ted Osborne)氏は次のように述べています。

「私たちは、交通システムのあり方を刷新し、都市部の環境をよりクリーンで、安全で、渋滞が少なく、スマートなものに作り変える機会を得ています。Gannett Fleming が目指すゴールはUberと同じく、交通を安全で、利用しやすく、信頼でき、すべての人にとって便利なものにすることです。当社の Skyport 『THE PAW』は、異なる交通機関の組み合わせた移動のハブとしての機能と、流線的で有機的な形をした離着陸パッドによる優雅さを自然に両立させたものです。」

Pickard Chilton社Arup社 の共同グループ  「Sky Tower」(スカイタワー)

Pickard Chilton社 と Arup 社によるデザインは、機能性に重点を置き、Uberのブランドを支え、広め、そしてさらなる高みに“elevate”していくような外観を創り上げています。

1つのモジュールで1時間あたり180回の離着陸を行うことができ、ピーク時には1時間で1モジュールあたり最大1,800人の乗客を輸送できます。モジュールは垂直方向にも水平方向にも組み合わせることができ、Skyport を都市の風景に馴染むような形にすることができます。

Pickard Chilton 社の代表であるジョン・ピカード(Jon Pickard)氏は次のように述べています。

「我々の Skyport は、地域住民を尊重し、Uberが目指す大規模な輸送能力を効率的に実現し、エレガントでありながら技術的にも高性能な建築で、機能性を持ったデザインを体現しています。私たちのデザインは概念的ではありますが、サイエンスフィクションではありません。実用的で調査に基づいたアプローチを行い、Uberにモジュール式で、都市内の交通に関するUberの未来像を現実のものにする、拡張・持続可能なソリューションを提供します。」

Corgan 社 「CONNECT」(コネクト)

「CONNECT」と名付けた Corgan 社のデザインは、近未来的かつ先進的な巨大な Skyport というアイデアによって、一般道や高速道路によって区切られた近代都市のあり方を見直そうとしています。この設計では Skyport は1時間あたり1,000回の離着陸が行えます。

Corgan 社のデザインは、慣れ親しんだ既存のインフラを再利用するため、すでに確立されている高速道路のネットワークを活用し、大規模導入の際に想定される交通量を捌く、新たな移動の動脈を創り上げます。高速道路が都市構造の中に残した分断を架橋することによって、「CONNECT」は地域住民をつなぎ直し、よりアクセスしやすい都市の航空交通を提供しながら、商業的・社会的な機会を追求します。

Corgan 社の Aviation Studio の代表であるジョン・トゥルーピアーノ(John Trupiano)氏は次のように述べています。

「航空建築家として、私たちは利用客の体験を高めること、それを誰もが利用できるようにすることに重きを置いています。従って、eVTOL の一般利用の枠組みを構築するというUber Skyport の第一義的な目的をさらに広げ、どうすれば Skyport が地域住民をつなぎ直し、周辺住民が便利に活用できる重要な施設になり、現代の都市における分断を架橋できるかを探りました」

Humphreys & Partners 社 「Uber Hover」(Uberホバー)

Humphreys & Partners 社の Skyport のデザインは、一般的なハチの巣をモデルにしています。航空機は複数のポートに出入りし、ハチと同じような動きをします。

このデザインでは、各階ごとに1時間あたり900人の利用客に対応することができます。また、持続可能な資材を用いて電力を Skyport に供給し、さらに周辺地域にも還元することのできるエコシステムを創造します。

持続可能な資材を用いて電力をSkyport自体に供給するだけでなく、周辺地域にも還元することのできるエコシステムを創り出します。

Humphreys & Partners 社のデザイン担当バイスプレジデントであるウォルター・ヒューズ(Walter Hughes)氏は次のように述べています。

「 Skyport および 大規模 Skyport の設計にあたっては、今日のテクノロジーや既存の開発方法にフィットするだけでなく、今後のトレンドの移り変わりにも対応できるコンセプトを考えることが重要でした。現代の交通のあり方では、従来のような駐車スペースの必要性が減るため、デベロッパーからは絶えず、将来の駐車場のあり方を問われました。私たちは簡単に複製・拡張していけるデザインに重点を置き、お店やオフィスなどを加え、様々な用途に使えるスペースという意味合いを持つようにしました」

The Beck Group 社  「The Hive」(ハイブ)

The Beck Group 社の Skyport は、過去の交通のハブと、六角形のミツバチの巣の美しさからインスピレーションを得ています。ミツバチによく似たeVTOLSは、巣のような Skyport から飛び立ち、またそこへ戻るというサイクルを幾度となく繰り返します。変形・拡張可能性を持った形状で、1時間あたり150回の離着陸を行うことができ、1時間あたり最大1,000回まで調整することができます。

Beck Group 社の代表であるミッシェル・カイザー(Michael Kaiser)氏は次のように述べています。

「『The Hive』は過去の重要な交通ハブの事例と、ミツバチが作り出す六角形の巣の美しさと実用性にインスピレーションを得ています。主な機能は伝統的な電車の車両基地や現代的な空港がデザインの基礎になっています。その形状は有機的かつ実用的で、そこで行われる活動を体現しています。重要なのは、こうした種類の交通手段が Uber のユーザーの中で流行り出すことによって、Skyport が拡張可能なものになっていくということです。」

BOKA Powell 社  「Skyport Prototype」(スカイポート プロトタイプ)

BOKA Powell 社の Skyport はフライトのダイナミクスから着想を得て、1,000回の離着陸に対応できるよう設計されています。構造をフレキシブルにしたことで、風向きの変化に応じてオペレーションを反転させることができ、離着陸を平均3分以内に行うことができます。

BOKA Powell 社の代表を務める アンドリュー ・ベネット( Andrew Bennett ) 氏は次のように述べています。

「この Skyport は、壮大な建築物のようでありながら、使用目的が明確に理解され、実用性のあるものとして、未来の航空交通への熱望とともにそびえ立ちます。このデザインの本当の鍵を握るのは、航空機と乗客の両方を統御する機械的な精度と臨機応変な対応力です。こうした複雑なプロセスを解決することによって、未来の航空交通という夢が実現可能になるのです。」

 

Uber Elevateについて

Uber は、2016年10月に都市部の航空交通に関する最初のレポートを公開し、Elevate プログラムを立ち上げました。それ以降、eVTOL(電動垂直離着陸車両)を開発している実績のある航空機メーカーをはじめ、Embraer 社、Bell 社、現在はボーイングの子会社のAurora Flight Sciences 社、Pipistrel Aircraft 社、Karem 社などとのパートナーシップを締結してきました。Uber の設計モデルは、巡航速度150~200マイル(240~320km)、巡航高度1,000~2,000フィート(300~600メートル)、1回の充電で最大60マイル(96km)を飛行できる完全な電気航空機を定めています。

Uber は昨年、ダラス・フォートワース ‐ フリスコ(テキサス州)とロサンゼルスで2020年にuberAIR の飛行デモを行い、2023年に商用運行を開始する意向を表明しました。uberAIR の交通網に不可欠な離着陸拠点「Skyports」の建設を促すために、Uber は Hillwood Properties 社および Sandstone Properties 社との不動産パートナーシップも締結しました。昨年秋、Uber は uberAIR による体験を描いた初の動画を公開しました。

2018年の Elevate Summit において Uber は、交通管理テクノロジーと都市部の航空交通に重点を置いた NASA との独占的な宇宙活動協定を発表しました。Uber は、航空機向けリチウムイオン・バッテリー・パックの開発で E-One Moli 社と協力しており、ローター・プロペラ・テクノロジーの開発で米陸軍との共同作業声明に署名しました。