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(※2018年4月に米国で発表された資料です。)

皆さんは、私たち一人ひとりがいかに環境に影響を与えているのかを考える機会はありますか?移動の手段についても然りです。世界の先進国である OECD加盟35カ国に住む12億の人たちだけをとっても、その移動距離は毎年11兆マイル(17.7兆km)にも及びます。これは冥王星まで1,000回以上往復した距離に相当します。しかも、そのうちの80%が車を使った移動です(1)。こうした移動に掛かる相当なコスト、環境への負荷を考えれば、世界中の都市や政府・自治体がガソリン・ディーゼル車の個人での使用を減らす方法を本気で模索しているのも当然のことです。

Uber は、持続可能な交通の推進、ライフスタイルや都市を環境に優しくする解決策の発見に心血を注いでいます。

Uber は自家用のガソリン・ディーゼル車への依存を減らし、徒歩や自転車を含む、シェアされ、能動的な交通手段の拡大に注力している都市や政府・自治体の取り組みを賞賛しています。Uber では、徒歩や自転車、公共交通機関、その他シェアすることによる交通を利用するよう後押ししています。

環境に優しい移動方法への道のり

Uber では、より環境に優しい移動方法にシフトしている都市の取組みを支援しています。その達成に向けて、1マイル(km)の移動が環境に与える平均的な影響を交通手段ごとに検討してみます。

自家用車のコスト

まさに20世紀における自家用車の発明が人々の移動に根本的な影響をもたらしたように、新たなモビリティ革命は21世紀の生活を再形成することでしょう。こうした動きは、未来のモビリティと、環境にさらなる負荷を掛けない大規模な都市化への要求をともに満たす可能性も秘めています。

現在の交通システムが環境に与える影響を過小評価することはできません。IPCC をはじめITF、IEA、ICCT、EIA などの主要な情報によると、移動による二酸化炭素の排出は、世界のエネルギー関連の二酸化炭素排出量の1/4を占めます。都市単位で細かく見てみると、交通によるものは、都市部の二酸化炭素排出量の1/3から1/2を占める可能性があります。ガソリン・ディーゼル車は交通に関連するエネルギー全体の60%以上を消費し、すべての道路利用者の中で最も大きな負担を与えています。

気候変動は地球上のすべての人に影響を与えますが、窒素酸化物や粒子状物質(PM)をはじめとする地域的な大気汚染は、人間により直接的な健康被害を与えます。都市部の大気汚染が、頻繁に起きており、特に子どもや高齢者に影響を与えています。 WHO (世界保健期間)は、大気汚染を人類にとって最も深刻な脅威とし、それが原因で、年間370万人の若い命が失われていると報告しています。繰り返しになりますが、アメリカ合衆国環境保護庁によると、自家用車による二酸化炭素の排出は、都市部の大気汚染の主たる原因であり、50%~90%を占める可能性があるとされています。NGO団体「Transport & Environment」によると、イギリス・ロンドンにおいて、個人所有のガソリン・ディーゼル車は、微小粒子状物質(PM)の80%とすべての窒素酸化物の46%を発生させます。

移動手段を変革する

より持続可能な交通の未来を確立していくためには、人々が自家用のガソリン・ディーゼル車を使わずに済むようにしていくことが不可欠です。Uber では、都市がより環境に優しいものになるように支援を行いたいと考えています。米国のシンクタンク、ピュー研究所の調査で、米国ではライドシェアリングサービス(配車サービス)アプリをよく使用者する人ほど、今後、自分で車を保有しない可能性が高まるという結果が示されるなど、自家用車の使用自体を見直す人たちが早くも現れ始めていることに勇気づけられています。ORB International が欧州で実施した調査でも、ライドシェアリングアプリを利用し、複数の自家用車を保有する人のうち3分の2以上が、こうしたサービスが自家用車の所有の代替案になると考えていることが明らかになりました。

道路上にあふれる12億台の車の大多数は、ガソリン・ディーゼルを使うエンジンを搭載し、通常は個人的な目的のため、一人の移動に使われています。米国のような車社会では、自家用車を所有している人は概して95%の時間、その車を駐車させており、一人で運転するのが常です。こうした一般的な移動手段の非効率性は、いついかなる瞬間でも、世界中の自家用車は200億席もの空席(2)とともに走り回り、加えてガソリン供給の半分を浪費している、というようにも説明できます。

Uber のプラットフォームは基本的に、ドライバーがどこにいても自家用車をシェアされた車にし、乗客のために空席を無くして相乗りを容易にすることを模索しています。現在、世界中で300万人以上のドライバーがUberのプラットフォーム上で7,500万人以上の乗客と積極的に車をシェアしています。

車の座席を満席に近づけていくことが、より多くの人がより少ない車で移動することを実現するために重要な次のステップです。Uber は、より多くの人で空席を埋めるため、Uber POOL、Uber ExpressPool、Uber XLといったプロダクトの刷新を進め、割り勘や複数の目的地設定といった新機能も追加しています。こうした取り組みはやがて実を結ぶはずです。例えば、昨年1年間、UberPOOL を利用した3,700万人の乗客とそのドライバーの合計で、3億1,400万マイルの移動を減らすのに貢献したと考えられます。UberPOOL の乗客が自家用車に乗っていたら、約82,000メートルトン以上の温室効果ガスを排出していたでしょう(3)。このスケール感は、ヨセミテ国立公園で吸収するのに1.5ヶ月も掛かる膨大な排出量と同じです。ドライバーも乗客も、相乗りによって大きな好影響をその都市にもたらすことができるのは明白です。

最初から最後まで環境に優しく

ドライバーが移動の際、マイルごとのささやかな燃費の節約を実現すれば、効率性向上の可能性は多くの乗客とともに拡大します。Uber のプラットフォームは人の移動を増加させながら、他の2点間のサービスと比べて車の移動を40%削減するという調査結果もあります。

Uber は燃費の節約や、安全で効率的な車両の運用に努めるドライバーの努力を称賛しています。特に、代替燃料、ハイブリッドカー、果ては電気自動車まで、より効率性の高い車にアップグレードする方を応援します。昨年、Uber の米国内ネットワークにおける総走行距離の6%がハイブリッド電気自動車によるものでした。全米の自動車販売台数のうち、ハイブリッド車の割合は2~3%に過ぎないことを考えれば、これは非常に高い数字です。

また Uber は、今後もより効率性の高い車両の採用を検討するドライバーの支援を拡大していきます。現在、世界各国の営利・非営利組織と協力し、10数カ所以上で Uber EV (電気自動車)の実証実験を実施しています。電動によるシェアモビリティのサービスには多くの課題がありますが、Uber は、こうした技術が潜在的に持っている環境面での大きなメリットを引き出す方法の探求に注力しています。事実、ITF (国際交通大臣会議)、米カリフォルニア大学デービス校の交通輸送研究所および英ローレンス・バークレー国立研究所から、シェアードモビリティと電気自動車を適切に組み合わせ、自動化を加えると、道路上の車両台数を90%以上削減でき、交通が環境に与える影響を現在の水準から最大80%抑えることができるという研究結果が示されています。

*Uber がEV関連の実証実験を実施中の都市:アンマン、アムステルダム、ブカレスト、ドバイ、リスボン、ロンドン、マドリード、ミュンヘン、パリ、ピッツバーグ、ポートランド、ソルトレークシティ、チューリヒ

持続可能なソリューションのサポート

人口が密集した都市部や主要交通網が整備された地域では、最も簡単で、環境への影響が少ない移動方法は得てして公共交通機関を利用したものになります。UITP (国際公共交通連合)の調査では、交通網が整備された都市におけるライドシェアの増加は、1人当たりの二酸化炭素排出量を大幅に削減することを明らかにしています。現在、公共交通機関が地域内の移動の40%以上に達している都市は全世界で約20都市ありますが、ほとんどの交通機関が、バスや電車の空席を埋めるための新たな方法を模索しています。

また、米国公共輸送協会の調査では、ライドシェアサービスの利用者が増えるにつれて、公共交通機関の利用者も増えることが明らかになっています。Uber が交通機関と協力し、通勤者を大規模な交通機関につなぐ、最初と最後のワンマイルに関するソリューションの確立を提案しているのはそのためです。また、Uber は過去135年間にわたって世界各国の公共交通機関の利益を代表してきた UITP (国際公共交通連合)ともパートナーシップを組んでいます。先日、 Uber は公共交通機関向けのモバイルチケットに関するグローバルリーダー・Masabi とのパートナーシップを発表しました。これはユーザーが Uber のアプリ内でチケットを予約・使用できるようにするためです。こうした協業により、Uber は人々が自家用車ではなく、シェアモビリティの組み合わせを活用したより多くの移動方法を見つけられると確信しています。

都市内である場所からある場所へ移動するとき、最も環境に優しく、健康的なのはやはり圧倒的に徒歩や自転車です。こうした方法が常に、誰に対しても機能するわけではないかもしれませんが、Uber は能動的な交通手段を後押ししていく方法を模索し続けていきます。例えば、Uber の相乗りサービス ExpressPool を使うと、ユーザーの出費は減り、より歩くようになり、ライドシェアの効率性は高まります。過去数ヶ月の間に ExpressPool を全米8都市でローンチしてから、ユーザーは140万キロメートル以上、月までの2往復に匹敵する距離を歩きました。JUMP と協業した Uber Bike の拡大は、より多くのユーザーや Uber Eats の配達パートナーが都市内を能動的に移動する新たな選択肢を手に入れたことを意味します。

車のためではなく、人のための都市に向けて

究極的には、ガソリン・ディーゼル車、自家用車の使用から、よりシェアされた、能動的な移動手段へ移行していることを、より大規模な変革の一部だと考えています。人々が生活する都市を車のためではなく、人のためにデザインする―これは世界中のイノベーティブな都市がここ数十年間、開拓し続けている変革です。

Uber は、より人やその生活を中心に考えた、持続可能な都市のデザインに注力する非営利およびビジネスパートナーの連合に加わるため、「Shared Mobility Principles」に署名しました。これはほんの始まりに過ぎず、長年こうした挑戦と向き合ってきた都市に対して、どのように力になっていくかを見出すための長い道のりが待っています。Uber は、ライフスタイルと移動手段をより環境に優しいものにする、長期的かつ重要な取り組みに新たなツールを提供するため、世界中の都市と協業していくことに期待を膨らませています。

 

注釈

(1) トラック、SUV などの軽量自動車を含む

(2) Uber の試算による数値:世界の保有自動車台数12億台のうち、常時走行しているのは5%で、1台あたり空席が少なくとも3席以上あり(2017年に米国運輸省が実施した「National Household Travel Survey(全米世帯移動調査)」によると、米国における総自動車走行距離の約60%が単独運転による走行)、合計すると空席はおおよそ1億となる

(3)この数値も、推定に基づく計算。これらの数値は、すべての Pool のユーザーが平均的な乗用車を自分で運転する代わりに、より少ない台数で相乗りし、ドライバーが余分なルートを経由してユーザーをピックアップしたとして調整を加えた場合の推計値。ガソリン・ディーゼル車の経済性および気候変動に関する情報の出典はそれぞれ GFEI および US EPA 。