ゼログラビティカレー
石井元氏
「ゼログラビティカレー」を運営されている石井氏は、初月より Uber Eats で高い売り上げを実現されています。また、ポストコロナにおいてはバーチャルレストランへの参入など、幅広く事業を展開されています。本インタビューの前編では、石井氏の商品へのこだわりや店舗運営のポイントなどについてご紹介します。
1.『ゼログラビティカレー』とはどんな商品ですか?
「食べるほどに理想の体に近づく」をコンセプトとしたカレーです。
「健康を当たり前にすることで、ハツラツとした明日を作る」を経営ビジョンとしています。健康食と聞くと 「味気ない、食べた感じがないもの」というイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私たちは、「体を大切にできて、お腹も満たされておいしい」商品を目指しています。ゼログラビティカレーは、PFC(タンパク質、脂質、炭水化物)のバランスを考慮した、高タンパク低脂質なカレーです。その上、食べ応えもあるため、普通のカレーの半分くらいのカロリーで腹持ちする商品となっています。
2.なぜ『ゼログラビティカレー』を考案されたのですか?
最初は民泊運営代行の会社を立ち上げましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大によって観光業である民泊事業はダメージを受けました。そこで新規事業として、2020 年にスタートさせたのが『ゼログラビティカレー』です。
もともと、食で事業をしたいという考えもありました。アメリカに留学しているとき、アメリカでは肥満が問題となっていて、食について考えるようになったのがきっかけです。中でもカレーは日本人の食文化に根付いていることや、祖母がスパイスカレーのお店を手掛けていたという影響もあってカレーに決定しました。
大学時代からの友人である上島と共に、2021 年 4 月に六本木にお店をオープン、2023 年 2 月に新橋に移転しました。ビジネス面を私が、調理面を上島が担当しています。
3.Uber Eats を始められた経緯を教えてください
六本木のお店はテストマーケティングとしてバーを間借りさせてもらい、営業時間もランチタイムに限定したものでした。実は Uber Eats もテストマーケティングの 1 つとして始めたことなんです。自分たちでは自信があったゼログラビティカレーですが、実際に注文が入るか確かめたかったからです。すると想定以上のご注文をいただき、リピートしてくださる方も多くいらっしゃいました。その結果から本格稼働することに決め、新橋に店舗を構えたというのが流れです。
4.店舗の立地に特徴はありますか?
立地についてですが、新橋駅から少し離れた場所にあります。駅の近くと比べて人通りは少ないですが、デリバリーに力を入れていたため、そこまで人通りを重視しなくてもよいと考えました。
また、路面店なのでお店は見つけやすく、店内でのイートインもできます。実際にUber Eats でご注文された方がお店に足を運んでくださるケースも多々あります。また、駅近にこだわらないと、ランニングコストを抑えられるというのもうれしいポイントです。
5.店名やメニュー説明においてどんな工夫をされていますか?
現在、Uber Eats の店名を、『ゼログラビティカレー』に加え、『タンパク質・筋トレ・低脂質・減量・ボディメイク・PFCバランスカレー』等のワードを盛り込んで表記をしています。
これは最初、『ゼログラビティカレー』だけにしたら注文がまったくなかったため、改良を重ねた結果、この店名にたどり着きました。Uber Eats でご注文をいただいたお客さまに、「どうやってお店を調べますか?」と聞くと、「筋トレやタンパク質というワードで検索します」という回答が多くありました。そこで、店名に検索で引っかかってほしい言葉を盛り込みました。
また、メニュー説明では、より安心して商品を選んでいただけるように、カロリー・タンパク質・脂質・炭水化物・食物繊維の量を明記したり、当店のこだわりや、開発エピソードなど、ブランドの紹介を記載しています。
メニューページが充実していると、お客さまも安心して注文できると思いますし、私たちも自分たちについてアピールできる、いわゆる「広告」のような役割もあると思っています。メニューページをレストラン自身で自由に編集できるのも Uber Eats の特徴なので、お客さまの反応に合わせてメニュー編集をしています。
6.Uber Eats 以外にも、ブランドを広めるために取り組んでいることはありますか?
Uber Eats でご注文をしていただいたお客さまの特徴を分析したところ、体を鍛えている方が多く、健康に気を遣った食事として当店のカレーを選んでいただいていることが分かりました。そこで、近所のジムにチラシを置いていただきました。PR 活動では、より我々の商品に関心を持っていただけそうな方に効率的に届くように意識しています。また、通販での販売も行っており、遠方の方にもご注文いただけます。
7.店舗移転後の売り上げが初月より約 100 万円を達成。前年と比較して約 2 倍の売り上げとなった要因は何だと思われますか?
1 つの要因としては、営業時間を延ばしたことです。これは、最初は夜に注文が入るかを試すために、夜 22 時まで Uber Eats を受け付けるようにしました。営業時間を何時までにするとコスト的に見合うかを分析し、現在は 20 時までとしています。
スタッフは 3 名で回しています。盛り付けをシンプルにし、1~2 分で完成できるようなオペレーションで、より効率的に店舗運営ができるようにしています。
また、近くに住むリピーターの方が戻ってきてくださったのも大きな支えとなりました。
まとめ
お客さまにお店を認知していただくためには、お店の特徴を明確にして打ち出す必要があります。そのためには、石井氏のように、まずお店のコンセプトを決め、ターゲットを定め効率的にターゲット層ににお届けする方法を考えることが大切なのかもしれません。レストランパートナーの皆さまには、その手段の1つとして Uber Eats をぜひご利用いただければと思います。ブランド広告としてもデリバリープラットフォームを利用するなど、石井氏のように、通常とは違ったデリバリー運用の方法を見つけていただけるかもしれません。時代や需要に合わせて、それぞれのお店に合った方法を見つけていくことが、ビジネスの成功の鍵となるのだと感じました。