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マーチャント, ストーリー

実店舗で十分な売り上げがあってもデリバリーは始めるべき!

9月17日 / 日本
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トーホーベーカリー
松井成和氏

東京・三鷹市の吉祥寺通り沿い、井の頭恩賜公園から程近い場所にある「トーホーベーカリー」。創業から 親子 3 代にわたり、 70 年以上吉祥寺でパンを作り続けている老舗ベーカリーです。そのおいしさは近隣の住民だけではなく、評判を聞きつけ遠方からはるばる訪れる人もいるほど。

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午前中、ランチタイム、夕方にも行列ができることもある人気店ですが、 2022 年春から Uber Eats での販売を始められました。Uber Eats 上の優良店であることを示す「Eats 厳選」の 5 つの指標をクリアして「Eats 厳選」バッジを継続的に獲得されています。単価が比較的低めのパンのデリバリーで、どのように売り上げで成果を出し、高い評価を得ているのか、 3 代目店主の松井成和氏にお話を伺ってきました。
 

1.時には行列ができるほどの人気のベーカリーとして、三鷹や吉祥寺では評判のお店と聞いています。デリバリーサービスをしなくとも、十分売り上げは得られていると思うのですが、なぜ Uber Eats への加盟を決断されたのでしょうか?

きっかけはコロナですね。コロナで外出制限などが始まり、多くの飲食店が打撃を受けている中、当店は逆に忙しかったんです。パンはその日だけではなく翌日も食べられることから買いだめをするという背景があったからですね。ただ、売り上げはコロナ前とさほど変わらなくとも、来店者の数が減って客単価が高くなっているという状況をどうするべきか検討する必要がありました。そこに三鷹市から「デリバリー三鷹」に参加しないかと声をかけてもらったんですね。「デリバリー三鷹」というのは、コロナ禍における行政の支援策で、市内飲食店の弁当やテイクアウトメニューを、自転車などで市民のご家庭へ届けるというもの。 Uber Eats と同様のデリバリーサービスです。このサービスが始まるにあたって行政側から声かけがあり、当店は真っ先に手を挙げました。創業以来、デリバリーはやっていなかったのですが、いざ始めてみると「デリバリーってこんな感じなんだな」というのを、なんとなくそこで理解する良い機会になりましたね。そこでデリバリーのシステムを構築できたと思います。
「デリバリー三鷹」は 2 年程度続いたところで、コロナも落ち着き終了したのですが、その 1〜2 か月後に Uber Eats の営業の方から声をかけていただきました。約 2 年間デリバリーをやってきたし、需要もまあまああることが分かったので、今さらだけれど Uber Eats でもできるのではないかなと感じました。なので、さほど抵抗もなく Uber Eats を始められた、というのが正直なところです。
市の支援策のデリバリーから Uber Eats に代わることにより、販路が大きく変わりましたね。「デリバリー三鷹」は三鷹市内でのやり取りになりますが、 Uber Eats になると三鷹市外からの注文もあります。さらに、注文者に若い世代の方の割合が多くなったイメージもあります。もしかすると、当店は行列ができて待たされることがあるので、それを避けたいという方も Uber Eats でご注文いただいているのかもしれません。

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2.現在、 Uber Eats でオーダーできるパンの種類は 15 種類ですが、なにかこだわりはありますか?

現在 Uber Eats では、実店舗での売り上げベスト5と、惣菜パン、デニッシュ、サンドなどジャンル別人気商品を販売しています。初めて購入されえる方でも商品が選びやすいように、カテゴリーの名前や商品名に店頭での人気順位をいれています。
 

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なぜ 15 種類にしたのかというと、実店舗の人気順を考慮した上で決定しました。想定より多くデリバリーの注文が入っても対応がしやすいもの、そして配達時に道中で崩れる心配が極力ないものを選びました。
店頭でのパンの品数は約 100 種類ほどあります。

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1 つのパンを一気に焼いて店頭に出すことはせず、常にお客さまの動きを見ながら、 1 日数回に分けて焼いて販売しています。1 日 1 回だけ大量に焼いて販売すると、人気のあるパンは午前中で売り切れてしまう懸念があります。さらに、朝焼いたパンを夕方遅くまで販売し続けると、作ってからの時間が経つため、固くなり鮮度が落ちてしまいます。それを避けるために、 1 日に何回かに分けて焼き、午後に来たお客さまも焼きたてのパンをいろいろと選べるようにしています。一番人気の「GOLD 塩バターロール」は、 1 日で 15〜20 回ぐらい焼いて店頭に出しているんですよ。
ただ、店内でのお客さまの動向は見えても、 Uber Eats の注文は突然入るので、その日の人の流れを見て判断することはできません。突然の注文に合わせてすぐにパンを焼いて出すこともできません。そのため、まとまったオーダーが入っても対応しやすい商品を Uber Eats のメニューに載せています。
現在 Uber Eats 上で「GOLD 塩バターロール」は 1 回の購入で 5 個まで、という制限を設けています。実は店頭で購入する際も同じく 1 人 5 個までの制限をかけているんです。後から来たお客さまにも購入いただけるようにこのように対策しています。

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3.「GOLD 塩バターロール」は、個数制限を設けても 1 日 1,000 個以上売れるというのは驚きです。ただ、 1 日に何回もパンを焼くということは、当然閉店後に売れ残りが出てしまうと思うのですが、フードロスのために、何か工夫をされていることはありますか?

前日に売れ残ったパンは、それこそ昔からずっと、翌日の朝にいくつかまとめて店頭で安売りをしています。そこで売り切っているため、基本売れ残りが出たり廃棄したりするということはありませんね。お客さまの中には、朝のアウトレットを楽しみにしている方もいらっしゃいます。最近では、インターネット上で注文を受けて、パンを冷凍で送るといったサービスもよく見るようになってきましたが、当店はまだ行っていません。
もちろん、店を開けている間は、この時間にこの商品を販売するという算段は常に立てています。しかし、突然の雷雨などのハプニングがあると、来客数がガクッと減って多くの商品が残ってしまうということも当然あります。ですが、午後〜夕方など遅い時間に来るお客さまに喜んでいただくために、売り切れたものが出たらすぐ焼く体制は午後になっても続けています。閉店前でも全体の 5% ぐらいは商品が残るようにあえて調整しているんです。
ベーカリーの中には、「遅い時間に買いに行ったら棚がスカスカだった」「寄せ集められて店頭にあるのはこれだけですと言われた」というような、せっかく買いに行ったのにパンが少ししかなかった、買えなかったという、来店したお客さまががっかりされることが起こる場合もあるかと思います。しかし、当店ではそのようなことはしたくないのです。遅い時間になると、 パン 1 種類につき 2〜4 個ぐらいしか残っていないこともありますが、それでも種類、ラインナップとしてはある程度の量を提供できるように心がけています。朝や昼に買うお客さまからしたら数が少ないと思われるかもしれないですが、それでも遅くに来店したお客さまが、何種類かあるパンの中から選んで買えるような状態にすることは、とても大事なことだと思っています。

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まとめ

「行政の支援策に参加した結果、デリバリーの仕組みを構築でき、 Uber Eats にスムーズに移行できたのはラッキーだった」と話す店主の松井氏。パンのデリバリーについて同業者から聞かれるたびに「 Uber Eats を今すぐにでも始めたほうがいい!まずはやってみて」と勧めているそうです。食パン、惣菜パン、デニッシュなど種類や品数が多い実店舗メニューに比べ、デリバリーメニューは予想より多く注文が入っていても対応がしやすい 15 種類に厳選されています。その結果、実店舗での販売に影響がないようになっているだけではなく、注文者が人気商品を並ばずにタイミング良く購入できることにより、高い評価を得ることにつながっているのではないでしょうか。インタビュー後編では、「トーホーベーカリー」の大ヒット商品である「GOLD 塩バターロール」が誕生したきっかけや、実店舗とデリバリーのオペレーションをどのように両立しているのかについてご紹介します。

【Eats 厳選について】
以下の 5 つの指標をクリアすると Uber Eats 上の優良店として Eats 厳選バッジを獲得できます。注文者からの注目と信頼を得られることで、売り上げの増加が期待できます。Eats 厳選のステータスは毎月 1 日に、直近 90 日間の実績に基づいて決定されます。
1. オンライン率 85 % – 設定したメニュー提供時間内にサービスを提供した時間
2. 注文 40 以上 – 完了した注文の件数
3. 評価 4.7 以上 – 注文者によるレストランの評価(星の数)の平均 
※対象となるには 10 件以上のレビューが必要です。
4. 不成立となった注文 1% 未満 – 一定時間内に受注せずに不成立となった注文
5. 注文の品の入れ忘れ・入れ間違い 1% 未満 – 注文商品の不足または間違いがあった注文


 

投稿者: Azusa Miura

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