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マーチャント, ストーリー

売り上げ・費用・利益を毎月チェックすることで、拡大戦略を仕掛けることが可能に

2024年12月16日 / 日本
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HONEYCOMB COFFEE
オーナー 田尾 秀一氏

東京都品川区にある、コーヒーとバスクチーズケーキが人気のカフェ「HONEYCOMB COFFEE (ハニカムコーヒー)」。オーナーの田尾氏は、データ活用により、実店舗とデリバリーの売り上げを伸ばしています。データの具体的な活用術について田尾氏にお話を伺いました。
 

1.データを重視、活用されるようになったきっかけを教えてください。

私は起業する前に IT 系上場企業の子会社の役員として事業責任者を務めていたことがあります。そうしたキャリアの中で、事業を伸ばす際にデータを重視する姿勢が自然と身に付きました。特に IT 業界では、実施した施策がどのような結果をもたらしたのかを、定性的・定量的の両面から分析することが求められます。その結果を基に、「成果が良ければさらに発展させる」「悪ければ改善する」といったプロセスを繰り返してきました。
こうした経験があったため、実店舗の経営を始めた際にも同じ考え方で取り組むようになりました。私は、データを活用することが「当たり前」の環境で仕事をしてきたことが、店舗経営においてデータ活用を行うようになった大きな要因だと思っています。
ただ、実店舗ではお客さまのデータを数値化できる部分と、そうでない部分があります。例えば、実店舗の場合、リピーターのお客さまが来店されても「誰がいつ、何回訪れたか」といった詳細な情報を完璧に記録するのは難しい。しかし、デリバリーの場合は、注文者名や日時、注文内容などがすべて記録されるため、データとして非常に扱いやすくなります。このような特性の違いを理解し、それぞれの強みを活かしてデータを活用するようにしています。

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2.データ戦略を立てるために重視していることを教えてください。

私がデリバリーのデータで特に重視していることは、新規注文者の数とリピーターの数、そして転換率です。毎月の売り上げ構成比において、新規注文者とリピーターの割合を分析し、それぞれがどのように推移しているかを注視しています。特に、新規注文者がリピーターに転換し、その後も継続して注文していただけているかどうかは重要な指標です。リピーターが多いほど店舗の状態が良好であり、お客さまの満足度が高いことを示しています。それが事業の継続性にもつながると考えています。

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その他には、事業の収支と広告の効率性を図る指標として「毎月の売り上げ」「広告費」「振り込まれた金額」も重視しています。広告を増やせばその分売り上げも増えますが、広告効率が悪く利益に結びついていないと意味がありません。そのため、この 3 つの数値から事業全体の収支のバランスを確認しています。
 

3.データを活用し検証することで、どのようなことが分かり、どのような効果をもたらすのでしょうか。

データには 2 つの観点があると思います。 1 つ目は「現状の健全性のチェック」です。例えば、デリバリーにおいて、良い商品やサービスを提供できていれば、注文者が満足してリピーターとして残る、評価の高いレビューが得られるといった結果がデータから見えてきます。これにより、「良い商品やサービスを提供できている」という現状を客観的に把握できます。ただし、こうしたデータはあくまで「結果指標」であり、売り上げの直接的な増加にはつながりにくい部分もあります。そのため、私はこれを店舗の「健康診断指標」と捉えています。

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2 つ目は、「売り上げアップに向けた広告戦略の最適化」です。データを見ることにより、広告宣伝をどんどん仕掛けていくことができます。例えば、 Uber Eats であれば「リスティング広告」や「プロモーション」を実施しなければ露出を増やすことはできません。そのため、積極的にこれらを活用することで、売り上げアップのチャンスを広げられます。多くの店舗の方が、「リスティング広告やプロモーションを行っても、本当に効果があるのか分からない」と感じるかもしれません。しかし、広告施策を行った後、その効果をデータでしっかり検証することで、成功の指標をつかむことができます。例えば、「良い数字が出ているので、広告をさらに拡大しても良さそうだ」といった判断ができるようになります。このようにデータを根拠にすることで、広告予算の増額や拡大戦略に踏み切る自信が得られるのです。逆に言えば、拡大戦略を取る際に、データの根拠がないとおそらく踏み込みにくいと思います。そのため、データは売り上げ拡大の可能性を広げるための重要なツールと言えますね。

4.拡大戦略を仕掛ける際、具体的にどのようなことを行いましたか。

リスティング広告に限って言えば、広告費をかければその分露出が増える、という結構シンプルな仕組みだと思います。そこで、まずは 1 日 500 円で広告を試してみました。それで本当に売り上げが増えているのかデータで確認したところ、実際に売り上げが増加していました。ただ、売り上げは増えているけれど当然コストも増えている。そこで収益性を確認したら収益性も問題なかった。それなら今度は広告費を 1 日 500 円から 1,000 円に増額し、 3 日間や 1 週間単位で数字を検証しました。そうするとさらに収益性が上がっていったんです。
最近では Uber One のメンバー向けに割引プロモーションを実施するなど、さらに広告を強化しています。ただし、プロモーションが終わると、おそらくリスティング広告の効率が少し落ちると思うので、その際には「妥当な金額に調整しよう」、「違うプロモーションをこちらで作ろうかな」といった対策を考えています。このようにデータを確認しながらタイミングごとにいろいろチューニングしています。

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5.これからデータを活用していきたい店舗は、どのデータを集めてどのように見たらいいでしょうか。

デリバリーに限らず店舗運営の大枠で重要なのは、「売り上げ」「費用」「利益」の 3 つです。売り上げを構成する要素はシンプルに「客数×単価」です。それぞれをどのように最大化していこうかという話になります。この客数については、通りを歩いていて、たまたまフラッと店舗に来ていただく方、 SNS やマップアプリを見て来ていただく方、デリバリーを利用される方など、さまざまな集客チャネルが存在しています。それぞれの来店や注文のきっかけをどんどん要素分解して、データを集めて確認することが大切です。
単価を考える際には「ドリンクだけを購入されるのか」、「スイーツも一緒に買っていただけるのか」という視点も重要ですね。

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そして、合わせて実施したほうがいいのは費用の見える化です。例えば商品の原価では、まず適切な原価率を設定し、1 か月運営した後、実際の支出と設定額の差はどうなっているのかしっかりと定期的に確認する必要があります。さらに、家賃や人件費が妥当な範囲内に収まっているか、無駄な支出がないかも毎月チェックすることが大切です。
これらを「月次」で追い続けることが、細かいように思えても非常に重要な経営の基盤となります。実際、これらの要素を毎月しっかり確認できている経営者は多くないかもしれません。もしご自身で管理することが難しい場合、税理士などの専門家と連携して定期的にデータを検証することも有効です。設定した目標や基準に基づき、経営が適正なラインに沿って進んでいるか確認ができます。毎日細かく数字を追う必要はありません。ただ、データ活用をまだ特に始められていない場合は、まずは経営状況が適正であるか「答え合わせ」をすることが重要です。
 

6.Uber Eats で得られるデータで、「これをしっかり把握しておくといい」というものはありますか。

やはり注文者の「リピート率」と「評価」ですね。もし新規注文者がリスティング広告の効果で注文してくださったとしても、その 1 回限りでリピートされなければ、自転車操業をし続けることになってしまいます。もしリピート率や評価が低い場合にやるべきことは、露出拡大ではなく、商品の改善やお客さまの満足度の向上です。まずはクオリティの高いサービスや商品を提供することが大切になります。
そして、クオリティは問題なく、比較的高い水準で運営できている店舗であれば、次に打つべき施策はプロモーションやリスティング広告の活用です。Uber Eats 内での露出を広げていき、売り上げの拡大をしていくことが大切です。
もう既に、プロモーションなどを活用している店舗がさらなる改善を考えるのであれば、私が今やっているように、Uber Eats の管理画面上だけでは得られない「一顧客単位」のデータを掘り下げていくとより詳細なアプローチができるかと思います。各注文者がどの程度リピートしていただいているのか、平均単価、累積購入額、顧客生涯価値などを確認して、店舗経営としてワンランク上に踏み込めるかどうかを判断します。同時に、どこまで広告費をかけるのかを考えるのも大切です。月の売り上げ目標を 100 万にするのか、200 万にするのか、それとも 500 万にするのかなどによって広告の予算規模も変わります。そのため、さらに深掘りしてデータの検証が必要になります。

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7.最後に、このインタビューを読んでいる他のレストランパートナーの方々に向けてメッセージをお願いします。

データを読み解くことによる利点は、やはり合理的な意思決定ができることです。例えば Uber Eats 上でプロモーションやリスティング広告の予算を拡大する際、それが良いか悪いかを明確に判断できます。「調子が良かったらよしもっとやろう」「調子が悪かったら検証しよう」みたいなことですね。数字を基に意思決定をできるところが、データを活用することの強みです。本来なら拡大余地があるのに気付けず、売り上げの機会を損失しているレストランパートナーさんは結構多いかなと思います。だからこそ、データ、要するに定量的なアプローチを基に「まだこれはいけるな、もうちょっとやってみよう」といった意思決定をしていくと合理的に Uber Eats での店舗運営が行えるかと思います。
正直、私自身 Uber Eats でこんなに売り上げが伸びると思っていなかったんですよ(笑)。だからこそ、まずは仕掛けてみることの大切さを改めて実感しましたね。どうなるか分からないけれど一度試してみたら、それが思いのほか良い結果につながることは、他のレストランパートナーの皆さんにもあり得ることだと思っています。まずはデータを把握しつつ、フットワークを軽く試してみることでチャンスが広がります。積極的にチャレンジした方がいいと思います。

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まとめ

売り上げ拡大や事業成長のための強力なツールとなる「データ」。広告施策を行った後、その効果をデータでしっかり検証することで、成功の指標をつかまれている「HONEYCOMB COFFEE」オーナーの田尾氏。まだ Uber Eats に加盟されて 1 年も経過していないのですが、今後のさらなるお店の成長がますます期待されます。

投稿者: Azusa Miura

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