メイン コンテンツへスキップ
マーチャント, ストーリー

実店舗とデリバリーでまずは月100万を目指す「名代 富士そば」の戦略とは

10月1日 / 日本
Featured image for 実店舗とデリバリーでまずは月100万を目指す「名代 富士そば」の戦略とは

名代 富士そば
開発 企画 広報
工藤 寛顕氏

デリバリーの際、「麺がのびる、つゆが冷める」といったそばならではの問題を、完成直前の状態で配達、電子レンジで温めるだけの状態でお届けすることにより、店内で食べる味に近づけた「名代 富士そば」。コロナ禍に来店者が減り、売り上げがダウンしたのをきっかけに、数店舗からデリバリーを始められました。その結果、パートナー契約をした店舗がもれなく売り上げを拡大させ、今年に入り Uber Eats とパートナー契約を結ぶ店舗が増えています。

立ち食いそばの店である以上、来店者が求めるのは「安価、迅速、美味」。短時間で丁寧な接客が必要とされる中で、店舗での客対応とデリバリーの注文への対応を、どのように両立させているのでしょうか。「名代 富士そば」開発・企画・広報の工藤氏に、デリバリーについての考え方を伺いました。
 

1.Uber Eats をスタートさせた当初、店舗スタッフの方々はどのような反応でしたか?

最初は正直なところ、嫌がっていましたね(笑)。見えないところから注文が来ることに対しての拒否反応というか、慣れていないというか。普段なら、店にお客さまが来たら「いらっしゃいませ」と声をかけ、食券を買うのを視認して動く、というのが一連の流れになるのですが、突然「ピン」と音が鳴って注文が入るのは、ある意味驚くというか、いつ注文が来るのか分からない怖さがあったようです。中には、イライラしたり、慌てたりするスタッフもいましたね。慣れていない、新しいことを始める時は、どうしても現場では大なり小なり動揺が走ります。そばやつゆ、具を用意して器に入れて包むといった手順はルーティンで行えるものです。また、配達パートナーの方が来るまでに商品を用意するタイミングは、少し余裕をもって時間を設定しています。それらを考慮すると、実店舗での注文に対応しながらデリバリー対応もできるはずなのですが、デリバリー開始当初は実際の負荷以上に店舗スタッフが困っているようにも見えました。
デリバリーを開始するに当たり、スタッフの人員を増やすことはせず、現在も人員を増やすかどうかは各店の裁量に任せています。ただ、本部が用意したモデルケースとして、「デリバリーのみで 1 日に 3 万、4 万円の売り上げが出せる場合、デリバリー専任のスタッフを 1 人増やして大丈夫ですよ」と店舗に伝えています。デリバリーの注文が殺到し店舗にいるお客さまも待たせてしまうような場合は人員を確保します。 1 人人員が増えることでスタッフ全体の負担が軽減するし、店内でも良い仕事ができるようになるのが一番いいですからね。逆にいえば、デリバリーの売り上げが、月に 50 万円に満たない場合は人を増やす必要はないと考えています。店に食べにきたお客さまや配達パートナー、注文者様を待たせてしまうような注文数ではありません。
今では店舗スタッフはデリバリー対応にすっかり慣れて、いずれの店舗でも、店頭での対応とデリバリー注文との対応を両立することができています。
 

2.デリバリーの注文が一番集中する時間帯はいつですか?

これは企業秘密とさせてください。あえて言うなら、競合他社とぶつからない時間帯です。

Image

おそらくですが、Uber Eats はちょっとおしゃれに、そしてしっかりと仕掛けてくれているということ、また、注文者様が多いエリアに弊社の店舗も多いといったことがあり、そのある一定の時間帯に、特に注文が集中するのではないかと私はとらえています。あとはやはり天気ですね。寒い日や暑い日はデリバリーの注文が一気に伸びます。配達パートナーの方々は大変だと思うのですが、天候が荒れている日ほどデリバリーの注文が増えるのは、おそらく店舗スタッフだけではなく配達パートナーの方々も理解されているのではないでしょうか。
 

3.工藤さんにとって、 Uber Eats のデリバリーとは何でしょうか?

私は、フィリピンや中国、東南アジアなど、海外のデリバリー文化を見てきたので、特別に何かを感じることはなかったですね。最初に Uber Eats を知ったのは、それこそ台湾やシンガポールのタクシーです。おそらく 2010 年代だったと思います。それよりも、日本には昔からの「出前」のイメージがあるので、配達に料金が発生する Uber Eats のスタイルが日本に浸透するまで相当苦労があるのではないかと思っていました。
弊社としては、デリバリーに限らず新しいことを取り入れる際は、後発的なポジションをとるようにしています。デリバリーという業態が世間になじんでいるということを肌に感じたら、そこで参入を考えるというという方針です。トップランナーにはなりたくない。先駆者となって大変な思いをするより、ある程度土壌が出来上がったところで仕掛けていく。Uber Eats のパートナー店が今年になって増えているというのは、そのような背景もありますね。

Image

各店舗には、「例えば実店舗の売り上げが現在 50 万円なら、デリバリーを含めて 100 万円にしましょう」といった具体的な目標設定を提示しているところです。 100 万円なら私の計算上、もう 1 人スタッフを増やしても問題ない。人が増えること、注文が増えることで店に活気も生まれてきます。そしてデリバリーの注文を増やすために、今後プロモーションの導入も検討中です。以前、東京都足立区にある北千住東口店が Uber Eats を始めた際、キャンペーンとして店舗の値段と同じ値段で商品を販売したことがありましたが、現在はそうした取り組みは何もしていません。デリバリーの売り上げを今後伸ばしていくために、何か起爆剤的なものを考えなくてはいけないですね。
 

4.今後やってみたいこと、デリバリーだからこそ始めてみたいことはありますか?

本当に作りたいものを表現し伝えていくということをしたいです。店舗では、かつ丼を 580 円で販売しているのですが、たとえ価格が 1500 円や 2000 円でも、思わず食べたくなるようなクオリティの高いかつ丼をデリバリー限定メニューで提供するとか。あとはコラボメニューですね。その地方にしかないブランドの食品、ご当地食材などと富士そばがコラボして、そのメニューをしっかりと発信していく。「富士そばのくせにちょっとうまいぞ”」と言っていただけるようなものを展開していきたいです。 8 月から実店舗では、沖縄の生もずくを使った「冷やし特撰富士そば」を首都圏 108 店舗にて期間限定販売をするのですが、これは沖縄の勝連漁協、 JALグループの商社である 株式会社 JALUX と弊社が提携して新メニューとして開発したものです。 2 月には、伊豆七島の三宅島とのコラボメニューとして「明日葉天そば」を販売していました。こういった期間限定、コラボメニューをデリバリーでも展開できたら。気付いた方から「富士そば、やったな(笑)」ってリアクションをしていただけるような、何か注文者様をワクワクさせる企画を実現できればいいなと思っています。
デリバリーの場合、何を食べようか選ぶため画面をスクロールしている時って、 1 つのメニューや店舗を 1 〜 2 秒しか見ていないと思うんですね。その短い間で違和感というか、「なんだこれ?」と思わせる、思わず目を留めさせるような仕掛けはとても大事だと思っています。だからこそ「あれ? 富士そばがまたなんかやっているぞ」と思わせたい。デリバリーで注文される方の中には、立ち食いそばの富士そばだと知らない方も多く注文していただいているので、 Uber Eats を通して、富士そばだからこその意外性や驚きなども含め、喜んでいただきたいと考えています。

Image

 
まとめ

同業他社がすでにデリバリーを導入している中で、後発では埋もれてしまわないかと不安になるのではなく、デリバリー文化という土壌が十分に整った、世間で浸透した今だからこそ一気に参入するという決断をされた「名代 富士そば」。状況をしっかり見据えた上で、後発でも売り上げをしっかり伸ばし、結果を出されています。注文者がメニューを検索する際に、一瞬「あれ?」と思わせるような、違和感をあえて作り出すことで、多くのメニュー候補の中から目を留めさせるという方法は参考にしたくなるアイデアです。デリバリー限定メニューやご当地食材とのコラボメニューなど、企画力や話題性などでこれからも注文者の興味を引く戦略を仕掛けていくとのこと。どのようなワクワクするメニューが登場するのか今から期待いっぱいです。

投稿者: Azusa Miura

必要なときに配車を依頼

お住まいの都市で仕事を始めましょう

必要なときに配車を依頼

お住まいの都市で仕事を始めましょう