カフェサンデコ cafe sun deco
オーナー 田村恵氏
京王線、千歳烏山駅から徒歩 3 分ほどの場所にある「カフェサンデコ cafe sun deco」。ショーケースに並ぶ色とりどりのお惣菜、オーガニックトマトケチャップを使ったオムライ スや、仙台産黒毛和牛の煮込みハンバーグといったこだわりのメイン料理、フレンチトーストやケーキなどのデザートといった、幅広い品揃えが特徴です。
昨年店舗を移転したことをきっかけに、デリバリーに注力したところ、移転前より売り上げがアップ。今ではデリバリーが 8 割、実店舗が 2 割の売り上げとなっています。以前より店舗面積が小さくなったけれど、デリバリーを強化したことで売り上げがアップしたのはなぜか? オーナーの田村恵氏にお話を伺いました。
1.お店のコンセプト、創業時の状況について教えてください。
2014 年の 10 月に現在の店舗から少し離れたところに最初の店をオープンしました。前店舗でのコンセプトは『子連れで行けるカフェ』ですね。というのも、私は 5 人の子供がいるのですが、烏山はかなり子連れが多いのにもかかわらず、子連れで入れるカフェがなかったんです。それで友人と一緒にカフェを開いたのが最初ですね。
しかし、カフェのあったビル自体の取り壊し が決まったため、去年の 7 月に現在の場所へ移転することになりました。当時、引越し先の物件を同じ烏山エリア限定で探したのですが、同条件のところが本当になかったんです。前店舗の半分ぐらいの坪数しかないところばかりでした。現在の店舗も 8 坪しかありません。これでは子連れで行けるカフェにはならない。現店舗はカウンター席のみの細い店内のため、ベビーカーが入れない。「コンセプトを変えるしかない」ということになったんです。
ただそのときに本当に Uber Eats さんのおかげなんですが、店内飲食だけではなく、デリバリーの売り上げもかなりあったため、「店内での飲食提供をメインにするのではなく、テイクアウトとデリバリーをメインのお店にしよう!」と方針を転換できました。現店舗に移ってちょうど 1 年たったのですが、今は店内が 2 割で、デリバリーが 8 割といった売り上げの構成になっています。移転のタイミングにより、コンセプトをチェンジした感じですね。
2.Uber Eats を始めたきっかけを教えてください。
Uber Eats を始めたのは 2017 年ですが、その頃はまだ Uber Eats は日本ではメジャーではなかったと思います。当店のホームページを作成している友人がいるのですが、その友人が情報にとても敏感な人で、「知ってる?Uber Eats が日本へ来るんだよ」と言われたんです。私は最初 「Uber ってタクシーじゃないの?」「日本でできるの?」 みたいな感じで言ったら「違うんですよ。いわゆる出前みたいなことをやってくれるんですよ。お店で配達スタッフを抱えなくていいんですよ。知っています?」と言われて。もちろん全く知らなかったし、そうなったときには絶対やりたいと思いました。
始めたときは 1 日多分 2〜3 件オーダーが入ってくればいい方でした。また、なによりまず、配達パートナーの方の数が少なかったです。そのため、なかなかマッチングができず、夫に頼んで配達パートナーに登録してもらいました。
それくらい、最初 はゆったりした状況だったのですが、 2020 年の 3 月あたり、コロナ流行時からはものすごく忙しくなりました。ゴールデンウィークは特に注文が続々、延々と入ってきました。そのときはまだ、忙しさに私達が慣れてなかったので、注文をさばくので手一杯の状態でした。オペレーションが本当に「わっちゃわちゃ」だったのをすごく覚えています。ただ、たとえどんなに忙しくても、品質の落ちたものをお出ししたらリピートにはつながらないので、ひたすら声を掛け合って、商品の入れ忘れや注文の間違いがないか、 2〜3 人でチェックしつつ、必死に注文をこなしていきました。当時はプリンターを持っていなかったので、ひたすらタブレットとにらめっこして大混乱の中でゴールデンウィークを乗り越えました。
コロナ禍の 2020 年 8 月、特にお盆に注文が大量に入ってきました。そのあたりで、私たちも大量の注文をこなすスキルが身に付いてきたというか、デリバリーに慣れていったという経緯があります。「効率よく作るためには、この商品がいいのではないか」、「デリバリー用の器はこういうものがいいのではないか」など、毎日注文に対応しつつ、スタッフの意見も参考にして改良を重ねましたね。
3.大量注文に対応することにより、スタッフのスキルやデリバリーの効率などが上がっていったのですね 。メニューは創業時から変わっていないのですか?
メインのメニューはあまり変わっていないのですが、それ以外のメニューは増えています。現在、デリバリーで一番ご注文いただくのが「ふわっふわ白パンのフレンチトーストdeco version」という商品です。これは、ご近所のベーカリーで焼いていただいているサンデコオリジナルの白パンなんです。そこにマンゴー・バナナ・ミックスべリー・生クリームなどをデコレーションしたメニューです。当初、店内だけで提供していたメニューなのですが、スタッフの間で「多分こういうのを家で食べられたらうれしいよね」という話になり、デリバリーでも展開し始めめました。デリバリーで提供するにあたり、ただのフレンチトーストではなく、開けた瞬間に「わあっ」って喜んでもらえるものにしたかった。当時はコロナ禍だったので、いわゆるカフェや喫茶店などが休業状態だったため、スイーツを外に食べに行くことができない状況でもありました。なので、いろいろなフルーツがのっていて、満足度の高いスイーツが注文者にうけるのではないかと考えましたね。
現在メニューは 8 割が定番メニューで 2 割が季節のメニューになっています。年 2 回、春と秋で旬のメニューを入れ替えています。夏はコーヒーゼリーとか、冬はティラミスやかぼちゃのタルトとか。オーブンメニューのグラタンやドリアなどは秋冬のメニューになります。去年は、マロンのモンブランのフルーツサンドが好評だったので、今年風にアレンジしてまたメニューに載せたいですね。
デリバリーのメニューはドリンクを入れて 60 種類以上あるのですが、メニューの追加に関してはスタッフのオペレーションを見ながら、徐々に増やしている状況です。私が「もう少しメニューを増やしてもいけるかな?」みたいな感じで増やすんですけど、スタッフのオペレーションがついてこないと感じたらいったん増やすのをやめます。そして、スタッフのオペレーション力が上がってきたなと思ったら、またちょっと増やしてみるということを続けています。
これ以上はもうダメ!と限界を決めてはいけないので、今後も状況を見つつ、メニューをどんどん増やしていこうと思っています。
4.オペレーションはどのように回していますか?
基本 2 名体制で回しています。当店は、メイン料理を作るキッチン担当とデザートやドリンクを作る担当に分かれています。
実店舗が混雑している時にデリバリーの注文がたくさん入ってしまっても、お互いにうまく支えながら、注文をこなしています。
スタッフのシフトの組み合わせ方も難しく、あうんの呼吸で動けるベテランコンビの日もあれば、ベテランと新人という組み合わせの日もあります。シフトの組み合わせも考えつつ、できる限りやっているという状況です。週末は スタッフが 3 人入る時もあるのですが、基本的には 2 人で成り立っているので引き続き頑張っていきたいですね。
まとめ
スタッフのオペレーションのスキルを把握しつつ、デリバリーの掲載メニューを増やしていくという「カフェサンデコ cafe sun deco」オーナーの田村氏。少し高めの目標設定をすることにより、スタッフのレベルが全体的にアップしていくというのは従業員の育成という面からしても有用な戦略なのかもしれません。インタビューの後編では、梱包へのこだわりやプロモーションなどの戦略について語っていただきます。