NPO法人 「気張る!ふるさと丹後町」(京都府京丹後市、理事長  山口洋子)が運行する「ささえ合い交通」は、日本で初めて Uber のアプリベースの ICT システムを活用した「公共交通空白地有償運送」として 、京都府京丹後市丹後町において2016年 5 月 26 日から運行を開始し、2018年5月26日には、運行を開始してから 2周年を迎えました。

「ささえ合い交通」が運行されている京都府京丹後市丹後町の人口は 5,275 人*で、そのうち、65歳以上の人口が約40%。少子高齢化や過疎化に直面し、公共交通の維持確保が課題となっています。。そこで、NPO法人 「気張る!ふるさと丹後町」は、「地元の資産を有効活用」するシェアリングエコノミーの考え方により、普段あまり使われていなマイカーを使い、Uber のアプリベースの技術を活用した新たな市民の足を確保することにしました。つまり地元住民が保有する自家用車と地元住民が運転する仕組みを利用し、乗りたい人と地元ドライバーが Uberのアプリ内でマッチングされる、新しい交通手段「ささえ合い交通」がスタートしたのです。
*出典:京丹後市政策企画課(2018年4月30日現在)

着実に利用される交通手段に
運行開始から2年が経ち、1年目と比較してご乗車が約4%微増しています。今までの走行距離は12,241kmとなり、京丹後からキューバ(地球1周の約3分の1)まで行ける距離となりました。

また、利用者別では、日本の方のご利用が 95%、そのうち地元利用者(京丹後)の方が 55%、次いで、東京の方が 31% でした。また、海外の利用者は5%で、アメリカ、オーストラリア、韓国、バングラデシュの方の利用がありました。地元の方の利用に加え、「ささえ合い交通を使った旅」の提案をする宿も出てくるなど、さらに観光分野での活用も期待されます。

また、利用が多かった場所は、病院や市役所でした。丹後町内の利用は、約 60% で、自宅から民間バス路線のバス停までの近所の往復にもご利用いただいています。病院や鉄道駅等がある丹後町外への利用需要も多く、鉄道やバスと連携する等により、さらなる需要の拡大が期待できます。

地元利用者の方の声を反映した代理配車制度や現金支払いで利便性を向上
さらに、「ささえ合い交通」では、利用者の利便性向上のため、スマートフォンがない方も、特定の代理人に電話をすると、利用者に代わって代理人のスマホからささえ合い交通を配車してくれる「代理サポーター制度」や、現金による支払い方法を 2016 年末に導入しました。それにより、現在では、全乗車の60%が代理配車を通した乗車、代理配車を行うサポーター数は39名になりました。また、支払い方法に関しては、80%が現金で行われています。「今まではスマホやクレジットカードがないと依頼できなかったが、気軽にささえ合い交通が使えて便利だ」というお声をいただいています。さらに皆様の声を反映し、使いやすさを追求した交通手段を提供し続けて行きたいと思います。

地元商店とコラボをしたイベントを介して、外出の機会を創出
その他、地元の店舗や住民とも協力をして、「ささえ合い交通」を活用した外出の機会の創出するイベントを実施しました。例えば、地元の方が趣味を披露して、一緒に学び合う「趣味交流会」を実施。お店の方は、「ささえ合い交通を使ってお店に来てもらって、ワイワイ食べておしゃべりをしながら、交流する時間を持ち、毎日が少しでも楽しくなれば嬉しい。」と語っています。

全国からも応援の声
運行開始から2年間で、日本全国から自治体や大学を中心に、100団体以上が視察に丹後町を訪れ、ささえ合い交通の使いやすさと存在意義を実感していただきました。また、2018年2 月には、地域づくりに取り組む団体にエールを送ろうと、地方新聞社と共同通信社が2010年度に設けた「地域再生大賞」にて、「ささえ合い交通」を運行するNPO法人「気張る!ふるさと丹後町」が近畿地方の「ブロック賞」を受賞しました。同じような課題を抱える自治体からの期待の高さが伺えます。

3年目も、ささえ合い交通を運行するNPO法人「気張る!ふるさと丹後町』とUberは、さらに地元の方の外出の機会を増やし、乗車体験を向上させるための施策を進めて参ります。また、観光利用も増やすべく、地元観光関係者とも連携しながら、新たな取り組みを進めて参ります。

**乗車データは2018年5月25日現在

 

「ささえ合い交通」について

道路運送法第 78 条第 2 号に基づいて、法定要件を備えた運転者と登録済みの自家用自動車が、公共交通空白地における移動ニーズにこたえる「公共交通空白地有償運送」として、2016 年 5 月 26 日に運行開始しました

  • 運行開始日:2016 年 5 月 26 日
  • 運行日:年中無休(毎日)
  • 運行時間:8:00 – 20:00
  • 運賃:最初の 1.5 km まで 480 円、以遠は 120 円 / km 加算
  • 対象者:地域住民の方、観光客など
  • 乗車可能地域:京丹後市丹後町
  • 降車可能地域:京丹後市全域
  • ドライバー数:18 名

NPO法人「気張る!ふるさと丹後町」について

丹後町のまちづくりを住民主体で持続可能かつ計画的に進めるために、2009年10月2日、丹後町地域まちづくり協議会が京丹後市長に提言し設立。 丹後町間人出身の明治の大実業家である松本重太郎の生涯を描いた小説『気張る男』のタイトルから命名しました。『ALL for 丹後町 すべては丹後町のために 』をモットーに丹後町の「いま」に向き合い「これから」をよりよいものにするために、出来ることはどんなことでも取り組んでいます。(ウェブサイト:http://kibaru-furusato-tango.org/