
株式会社レミナ
統括マネージャー
小野雄太郎 氏
タピオカドリンク専門店「茶々坊(ちゃちゃぼう)」は、ブームに左右されることのない、地域に根ざした店づくりを続けています。人が多く集まる都心ではなく、都心から広がる各路線沿いに出店。ファミリー層が主なお客さまで、日常生活の中にあるお店として親しまれています。今回は、Uber Eats 導入の成果や、タピオカという商材が抱える時間経過による品質劣化という課題をどうクリアしていったのかなどを統括マネージャー である小野雄太郎氏に伺いました。
ブームに依存せず、おいしさに徹底的にこだわる
― 茶々坊はどのようなコンセプトのお店ですか?
茶々坊というお店は、第 3 次タピオカブームが終わったころの 2019 年 10 月に阿佐ヶ谷店をオープンして以来、さまざまなエリアに出店をしており 2026 年 1 月現在で 5 店舗あります。ブームに乗って始めたわけではなく、どうすれば日常の中で選ばれ続ける存在になれるかというところから設計しています。新宿や渋谷ではなく、ローカルな住宅エリアを選んで出店しているのも、それが理由です。2008 年ころの第 2 次タピオカブームのときにタピ オカを楽しんでいた世代が、いまは子育てをするお母さんたちになっているのですが、そういった方々が茶々坊のメインのお客さまです。
やはり都心のお店だと家賃や人件費が高くなってしまうため、価格を上げるか、商品にかけるコストを下げる必要があります。私たちは日常的にタピオカを楽しんでもらいたいので価格は抑えつつ、それでも食材にはこだわりたいという気持ちがあるので、それがかなうエリアを選んでいます。
― 食材にこだわりがあるということですが、具体的に教えてください。
まずは冷凍されていない生のタピオカを使用している点です。生のタピオカは仕込みに時間と手間がかかりますし、おいしい状態で提供できる時間も限られています。効率だけを考えれば、決して合理的ではないのですが、生ならではの食感を味わっていただきたいので生のタピオカを使用しています。大きさにもこだわりがあって、一般的には 7〜8mm が多い中で、茶々坊では 10mm の大粒のタピオカを使っています。より食べ応えがあって 、「満足感のある一杯」になるようにしています。あとは沖縄県産の黒糖を使用し、タピオカ自体に黒蜜の味わいを加えているところも特徴です。これもやはり手間と時間がかかるのですが、他店と差別化できているポイントの 1 つかなと思います。

― タピオカ以外にも、おいしさへのこだわりがあるのでしょうか?
抹茶タピオカミルクには各店舗で京都の最高級宇治抹茶を粉の状態から使用していたり、季節限定で提供しているいちごタピオカミルクにはジャムやシロップを一切使わず、生のとちおとめを使用していたり、1 つひとつの食材にこだわっています。最高級の食材を使用したおいしいタピオカドリンクをリーズナブルにご提供することが、私たちのモットーです。

デリバリーが売り上げの半分を占める
-Uber Eats を導入した理由を教えてください。
一言で言うと、「やらない理由がなかった」という感覚です。先ほど申し上げたとおり、出かけた先で偶然買ってもらえる立地ではないため、来店できる方は限られています。その制約を自然に広げてくれる手段として、Uber Eats は非常に相性が良いと感じています。
-実際に売り上げに貢献はしているのでしょうか?
そうですね、Uber Eats を中心にデリバリーでの売り上げが、全売り上げの半分を占めている店舗もあるのでかなり大きく貢献していると思います。あとは売り上げだけでなく、接点を増やすことにもつながっています。Uber Eats で知ってもらって、そこから店頭に来てもらうこともできているので、より多くの方に存在を知ってもらう、選択肢に入れてもらうための導線として、Uber Eats はなくてはならない存在です。

-デリバリーと店頭を比べて、売れる時間帯には違いがありますか?
あまり変わらない印象ですが、デリバリーは 21 時以降の注文が多いです。「外には出たくないけれど、甘いものが欲しい」というタイミングでデリバリーを選ばれているのかもしれません。実際にどういう方々にご注文いただいているのかまでは私たちには分からないのですが、お仕事で疲れて帰ってきた方々のちょっとしたご褒美として利用されているのかなと思っています。
接客ができない代わりに、何ができるかを考えた
-Uber Eats を導入するにあたって、何か不安や懸念はありましたか?
一つは、商品の品質です。生のタピオカは、提供から時間が経つにつれて硬くなっていきます。デリバリーした先のお客さまに、自分たちが理想とする状態で飲んでもらえない可能性があるという点は課題でした。もう一つは、接客ができない点です。正直なところ、タピオカは「おいしい」というだけでは成立しない商品だと私は思っているんです。接客も含めて、お客さまに提供できる価値だと考えているので、デリバリーだとその部分が削がれてしまう点は懸念として持っていました。
-デリバリーでもおいしさを保つために、どのような工夫をしていますか?
店頭で購入された方でも自宅に持ち帰る方も多いため、タピオカが硬くなることを想定して仕上げていることです。店頭販売とデリバリーでタピオカを茹でる時間は変えていないのですが、デリバリーの場合には提供直前にひと手間加えて、時間経過を見越した状態で仕上げています。さらに細かく言えば、季節によっても状態が変わってくるので、その日の気温などを見ながら調整するといったこともしています。
-では、接客という付加価値をデリバリーでも感じてもらうための工夫もあるのでしょうか?
商品を入れる袋に手書きのメッセージを書いています。時期によって内容を変えたり、周年やイベントに合わせた言葉を添えたりしています。店舗でお渡しするときにもやっていることではあるのですが、Uber Eats 用にアレンジして、少しでも人の温度が伝わればいいなと。実際に口コミ では、味のこと以上に手書きメッセージを評価していただけることもあって、良い顧客体験として受け取っていただけているのかなと思います。

デリバリーを通じて、売り上げとともに広がる輪
-導入してから感じている Uber Eats の価値はなんでしょうか?
先ほど売り上げの半分がデリバリーの店舗もあると申し上げましたが、そのうちの半分は Uber Eats です。それだけ Uber Eats を利用されている方が多いということだと思うのですが、売り上げだけでなく、認知や接点は確実に広がっているなと感じます。たとえば、娘さんが Uber Eats で頼まれて、それを家でシェアされたことをきっかけに、その方のお母さんが店頭に来られることがあります。あとは、配達パートナーさんがお仕事の合間にタピオカドリン クを購入されたり、最後の配達のときにご家族用に購入して帰られたりといったこともあります。いつも配達パートナーさんには手渡しをするようにしているのですが、店舗スタッフと配達パートナーさんとで良好な関係が築けていると思います。

-Uber Eats を今後どう活用していきたいですか?
デリバリー限定商品の開発や、価格設定の見直しなど、やりたいことは多くあります。
まだ「活用しきれている」とは言えないので、これからもっと戦略的に使っていきたいですね。

取材後記
今回の取材でお伺いした「茶々坊」南太田店の目の前にはスーパーマーケットがあり、メインターゲットである子育て世代はもちろん、その上の世代のお客さまが来店されていました。写真映えに偏りすぎるのではなく、素材と手間を惜しまずにおいしさにこだわるという姿勢が、幅広い世代の方に支持されているのだと感じます。
また、地域密着をコンセプトにする茶々坊において、店頭販売に加えて、Uber Eats を活用することは、お客さまの購入機会を広げ、より多くの方々との新しい接点づくりにもつなげられていました。地域に根ざしたお店づくりとデリバリーは、相性よく両立できる——そんなヒントが得られる取材でした。
